静心なくお金飛ぶらむ

オタクの現場備忘録。内容と語彙がない。

妖界道中おったまげ之巻 2023.6.14-2023.6.18

6/14 『YAJIKITA3』昼公演・夜公演@ナゴヤ

6/16 『YAJIKITA3』夜公演@ナゴヤ

6/18 『YAJIKITA3』昼公演・夜公演@ナゴヤ

 

 

 

〇6/14・6/16

 この二日はあまり配役が変わらなかったためまとめての感想。

 

~配役~(14日/16日)

・弥次郎兵衛:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

・喜多八:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

・青山鉄山 他:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

・お菊 他:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエさん」)

・七度狐 他:名古屋参太郎さん(以下「タロウさん」)/名古屋参笑太さん(以下「ショータさん」)

・老人 他:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

・山本五郎左衛門 他:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

 

 出演変更があってまったく配役が読めなくなった水曜日。ちょい見せでダエさんがお菊さんのお衣装をお召しになって降りて来られて、おたくはざわつきました。三役目は弥次喜多だろうという勝手な予想をしていたため、まさかここでお菊さんに入るとは……!

 ならば弥次喜多コンビはどうなるのか……? と思ったら、登場したのがサンエーさんの弥次さんと、ジューローさんの喜多さんの弥次喜多コンビ! このお二人の弥次喜多コンビは『YAJIKITA1』の時に一度だけ拝見していたものの、今回のコンビはより一層良い関係性になっているように感じました。弥次喜多コンビはどちらかというと弥次さんが格好良くて喜多さんが可愛い印象があるのですが、このお二人の弥次喜多コンビはどこまでも対等で、お二人とも格好良さと可愛さがあるのが、弥次さんと喜多さん両方を経験されているお二人ならではなのかもしれないなと思いました! サンエーさんの弥次さん、「狐の尼寺」でジューロー喜多さんの袖をしっかり握りしめていて怯えている様子が良かったです。また、油徳利を探すところで、確か金曜日に「二人でも怖いものは一人でも怖い!」と仰っていて、真理かもしれない……と思いました。

 喜多さんは二幕冒頭で「化ける」シーンがありますが、ジューローさんは『BENTEN the KID』の頃菊之助をやっておられなかったため、どうなるのかな? と思っていたら、なんと日本駄右衛門の口上になっていてとても格好良かったです! 『BENTEN the KID』再演があれば日本駄右衛門も観てみたいなと思いました。

 

 もう一人の新役、ダエさんのお菊さんは、本当に美人さんで素敵だな……、と思っていたら、歌い出しからラップを披露して笑ってしまいました。「尻子玉って屁のことかい?」という問いかけに対しても、「はい、おならです」と答えるところだけ大声だったり、不意打ちで成仏させられた断末魔が二段階の悲鳴だったり、節々にダエさんの面白さが出ていてとても好きだなと思いました。

 「狐の尼寺」に出てくる相撲を取る骸骨さんも当然ダエさんだったわけですが、今まで観てきた骸骨さんと違い、はりぼての骸骨さんの方が勝つパターンで大笑いしてしまいました。

 

 そしてようやく拝見できたのが、トラザさんの鉄山さん。先々週やっておられた時はまったく拝見できなかったため、ようやく観られた嬉しさにちょっと泣きました。トラザさんの鉄山さん、お菊さんを斬り殺した時もお菊さんを斬り殺した後も、お菊さんへの気持ちが残っているのではないかな、と感じて好きな鉄山さんでした。狂い死にしてしまうシーンの音がとても苦しそうで、毎度震えてしまいます。

 山姥さんは、休憩が明けてすぐ頭巾を被っているような出で立ちで、ペローの童話みたいで可愛いな、と思っていたら、山姥さんが「赤ずきん」と仰っていたので感覚は合っていたのだなと驚きました。また、山姥さんが火を飛び越えるところ、飛び込んで前転しておられてとても格好良かったです。山姥さんの可愛さが混ぜられたお声のトーンに、素の低めのトーンを挟まれるとおたくは大好きになってしまうんだなあと気が付きました。山姥さんの包丁捌きもとても格好良くて好きです。なおこのおたく、現世の有名人に疎いため「なんじゃけんか」と山姥さんが仰っていた「けん」が「志村けん」であることが分からず、終演後他の方に伺ってようやくなるほど! となりました。

 

 七度狐さんは水曜日がタロウさん、金曜日がショータさん。どちらの狐さんもダエさんの村人さんにべしっと叩かれていて可愛かったです。タロウさんの七度狐さん、何度拝見しても狐メイクがよくお似合いでにこにこしてしまいます。ショータさんの七度狐さんはどちらかというと可愛らしさが強くて、これまた好きです。

 

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〇6/18 昼

~配役~

・弥次郎兵衛:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

・喜多八:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

・おさよ後家・青山鉄山・オタク・山姥・青坊主:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

・骸骨・村人・お菊・山本五郎左衛門:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエさん」)

・河童・七度狐・庵主・オタク・チンピラ・網切:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

・弔いの男・老人・奪衣婆:名古屋参笑太さん(以下「ショータさん」)

 

 大波乱だったのが、この日の昼公演。円頓寺についてからジューローさんのお休みを知り、夜公演にサンジャクさんが駆けつけることを知りました。昼公演は果たして、とドキドキしていたら、なんと6人編成で営業するとのこと! この決断、とても迷われたかと思うのですが、とても嬉しかったです。「初めての方に芝居を観てほしいと思った」という座長のお言葉も素敵でした。

 6人になったため、配役もしっちゃかめっちゃかに。そんな中でもしっかりと公演を成し遂げるのがナゴヤ座の凄いところ!

 

 まずちょい見せで降りてこられた借金取りさんが、普段であれば山本さんとお菊さんのお二人。ただ、この日はお菊さんポジションのお着物を着たダエさんと、七度狐ポジションのお着物を着たサンエーさんのお二人で、山本さんがいない……!? と驚きました。また、階段を駆け下りてきた弥次さんのお衣装はトラザさん弥次さんなのに足は細めで、おや? と思ったら座長でした! きっと本当は虎屋の弥次喜多だったんだろうな、と思いつつ、座長とトラスケさんの弥次喜多コンビをちゃんと観たのがかなり前だったため、とても嬉しかったです。

 

 「狐の尼寺」で一番好きだったのが、ショータさん。棺桶を運んでくる下の村の方が「弔いの男」という名前だったのをこの日の夜のトラスケさんのツイートで知ったのですが、この「弔いの男」がショータさんでした。普段は二人で担いでくる棺桶を一人で持ってきたショータさん、途中で相棒が倒れてしまった旨をぶつくさ言いながらご登場でした。それだけでもきっとこの日鉄山さんだったジューローさんが運ぶ予定だったのだろうなと思ったし、この「弔いの男」さんは暗い山道を登る途中で相棒が倒れてしまって、きっと提灯もふたつともそこに置いてきたんだろうなと思いました。お婆さんとはいえ、人間が入った棺桶を一人で抱えて登ってくる体力があるこの方、きっと帰り道では倒れてしまった相棒を担いで村に戻るのだろうな、というところまで想像しました。

 また、狐が化けるところは、きっとおさよ後家さんもトラザさんでお着替えをされていたからだと思うのですが、狼のしっぽや達磨になっていて、このパターンもありだなあと思いました。特にラストでは大根を七度狐さんのしっぽだと勘違いして引っこ抜くので、狼のしっぽに惑わされた後だと、より騙されていると分かりそうな大根でも惑わされてしまうのだろうなと感じました。

 

 「菊の井」は水金で拝見していたダエさんのお菊さんとトラザさんの鉄山さんだったのですが、なんとこの鉄山さんが狂死した後、お菊さんのオタクとしてご登場! そのため、鉄山さんが転生してもお菊さんのことが忘れられなかったのかもしれないなと思いました。終演後ご本人にお伝えしたところ、「そういうことにしておこう!」と言われたのでそういうことにしておきます。

 

 「やまんば」は弥次喜多コンビの寝ぼけコントがやっぱり大好きで、トラスケ喜多さんの「ダパーンプ!」で毎回笑ってしまいます。座長弥次さんが白目を向いて立ったまま寝ておられたのも面白かったです。

 

 また3枚目のお札は「チンピラになーれ!」で、これも少し久しぶりに拝見しました! 滑舌が最悪なサンエーチンピラさんというだけでも面白いのですが、電話を受け取ったトラザ山姥さんが、「お世話になっております……」とおずおずと出るのがとっても面白くて、山姥さんにも電話応対経験があるのかなと思いました。

 

 山本五郎左衛門さんが召喚した配下の妖怪たちは普段は三匹いるものの、今回は青坊主さんと網切さんの二匹。この網切さん、多分赤鬼さん(と呼んでいますが正式な名前はまだ存じ上げません)のポジションに入っておられて、網切さん自身も、周りの皆様も、少しずつ勝手が違ったのではないかと思うのですが、まったく違和感がなく回しておられてとっても格好良かったです! あれはお菊さんも七度狐さんも演じておられるサンエーさんだからこそできたかもしれないな、と思いました。そしてそれを纏めてらしたのはきっとトラザさんで、見えないところでも皆様一丸となって公演できるようにしてくださったんだなと感じて嬉しかったです!

 

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〇6/18 夜

~配役~

・弥次郎兵衛:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

・喜多八:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

・青山鉄山 他:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

・お菊 他:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

・七度狐 他:名古屋参笑太(以下「ショータさん」)

・老人 他:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

・山本五郎左衛門 他:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエさん」)

 

 夜公演は今週結局毎日ナゴヤ座に駆け付けているサンジャクさんが到着し、通常公演へ。サンジャクさん、これで二役目が始まったら更に最強のヒーローになってしまうなと思いました。ただ本当にお忙しそうなので次にお休みになってしまうのがサンジャクさんになってしまわないようにゆっくりお休みを取っていただきさがあります……! サンジャクさんの奪衣婆さんも見慣れたものですが、毎回トラスケさんの喜多さんに「髭が生えてるぜ」と突っ込まれているのが好きです。

 

 夜はお昼より大暴れ感が強く、特に弥次喜多コンビが大盛り上がりでした! 用事があって観られなかった前日も凄かったと噂に聞いたものの、この回も一週間の終わりだからか、弥次喜多コンビのお二人がのびのびしておられて、観ていてとても楽しかったです。座長とトラスケさんのお二人の時に出るエピローグの「西遊記なら何役か」というお話、毎回トラスケさんの喜多さんの謎の動きと歌で笑ってしまうのですが、座長も同じように毎回大笑いしてらしてにこにこします。

 また、「やまんば」で喜多さんがどうやって山姥さんを誤魔化すのか、毎回こっそり楽しみにしているのですが、昼公演がフクロウで夜もフクロウかな? と思っていたら、まさかのフクロテナガザルで笑ってしまいました。本当にずるい!

 

 そして夜は七度狐がショータさん! つまり、「やまんば」の3枚目のお札は「お笑い芸人になーれ!」ということ! この回はどれも粒揃いでなかなか自爆できず、それもとても面白かったです。

 

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 今週は座員さん方の体調不良が続き大波乱でしたが、それでも一週間公演を続けてくださったナゴヤ座の底力を改めて感じた一週間でした! 来週もとっても楽しみです!