4/14 『GANKUTSU-O -復讐の夜明け-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座
~配役~
ファリア司祭/ファラオン号船員:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)
ヴィルフォール:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)
ダングラール:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)
ヴァンパ/モレル/ナポレオン:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)
ヤコポ/ファラオン号船員/ルイ十八世/部下:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)
典獄/講談師:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)
久々の『GANKUTSU-O』。なかなか通えずにいるうちに、新役がどんどん増えており、今回は初めて観る配役が半数を占めていました。
まずは何と言っても主役のエドモン。配信でふんわりと拝見した時からこれは凄いぞ、と思っていたのですが、実際に拝見するとやはり配信以上でした。そもそも座長のあんなお芝居を観たことって今まであったかな、と考えてしまうほど。まだ参雀久さんのエドモンを観られていないのでそちらとは比較ができないのですが、座長のエドモンは控えめで内向的な印象がありながら、自分の意志を主張しないわけではないというバランスが絶妙で、面白い人間性だなと思いました。
今までこの作品を見ていた中でずっと引っ掛かっていた、「でも首吊りは嫌だ」という台詞。これ、台詞の順番が変で流れが悪いなと思っていたのですが、この日のエドモンを見て初めて引っ掛かりを覚えずに観ることができました。小さなところですが嬉しかった……!
ファリア司祭は今週お目見えとなったばかりのトラスケさん。トラスケさんのファリア司祭は、『GANKUTSU-O』の重苦しい空気の中で一人軽やかで、エドモンにとって希望そのものだったのだろうなと思いました。クライマックス直前までずっとコミカルなキャラクタ性のファリア司祭ですが、ナポレオンの死を受けて厳しい表情になるのも、ファリア司祭の隠されていた顔が出てきたようで良かったです。
ファリア司祭がエドモンを貴族にするための訓練の中で、「ハポン」と仰っていたのがとても印象的でした。フランス語だと「ジャポン」になるのでは……? と思ったのですが、そういえばファリア司祭ってスペイン人なのでした。その細かさ、大好きです!
ダングラールはダエモンさん。ようやく観られました……! ナルシシズムと言っていいのかな……。どこまでも自分優位な面を惜しみなく晒していて、好きなダングラールでした。ダングラールの爵位が上がるにつれてか、動きが芝居がかってくる印象があったのも、爵位にしがみついて上辺だけでも取り繕おうという意識の表れのように見えて面白かったです。
あとダエモンさん、シルクハット? トップハット? を被っている姿がとてもどこかで見た挿絵に似ていてなんだったかなあ……と首を傾げています。ぱっと浮かんだのは江戸川乱歩の「怪人二十面相」シリーズですがちょっと違うんだよなあ……。
シロウさんのモレルも初めて。シロウさんはどうしても見た目の若さがありますが、その分ダングラールに対して強く出られない感じが面白いなと思いました。
ヴァンパはしっかり親分格だったのに、ちょっと頼りなさというか、ヤコポに手を焼いている感じがして面白かったです。ヤコポとのコンビ感、絶妙に好きでした!
今回ナポレオンではなくヴィルフォールに注目してしまったのでまたシロウさんのナポレオンが観たいです……!
観たことはあったものの、全然別物になっていたのがサンエーさんのヤコポ。片目を隠したヤコポの写真はSNSでたくさん拝見していたのですが、サンエーさんのお芝居が以前拝見した際の飄々とした雰囲気のヤコポからとてもソリッドな手触りのヤコポになっていて度肝を抜かれました。ファリア司祭を刺した後に隠された目を見せるの、正直とても不便そうだけど単純に格好良くていいなと思いました。
でもあの目が義眼とかでも面白いな……。
トラザさんは今週3日新役をやっておられたのでさすがにヴィルフォール。早くモレルが観たい気持ちはありつつ、ヴィルフォールも少しバージョンアップしていてびっくりしました。
特にダングラールが訪ねてくるシーンでは、シャツのボタンを外して腕まくりをしていたり、チーフタイを取ったりしていて、あの時のヴィルフォールはオフの姿だったのかな? と思いました。
サンキューさんの典獄も当然ながら久々だったのですが、前回拝見した時よりリアルな怖さがあって良かったです。
あと前説でこの日何故か(何故か)「Signal!」というオオムコウを練習したり、「Signalを見に行くと捕まる」というお触れがあったりして、翌日Signalを見る予定のあったおたくは密かに震えました。
この日はSNSで知り合った方も観に来てくださっていて、楽しんでいただけたようでなによりでした! 来週は休演日もあるものの、観れる公演を全力で楽しみます!