9/2 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座
9/4 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』夜公演@ナゴヤ座
9/5 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座
9/6 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座
9/2
~配役~
石川五右衛門:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)
真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)
戸沢白雲斎:名古屋山三郎さん(以下「座長」)
猿飛佐助:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)
恵比寿屋:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)
霧隠才蔵:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)
筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)
この日の五右衛門と恵比寿屋はトラザさんとトラスケさんのコンビ! 一幕で才蔵を追う五右衛門が「野暮用だ」と出ていくところでトラスケさんの恵比寿屋が「どっち行った?」と迷うのは最近よくやっておられますが、この日は五右衛門と反対方向に行こうとする恵比寿屋を急いで戻ってきた五右衛門が恵比寿屋の首根っこを掴んで引きずっていくのがこの二人のコンビならではで好きでした。この五右衛門はきっと恵比寿屋がついてくると当たり前に思っていて、そこに疑う余地はないのだろうなと思います。
この日の五右衛門は秀吉に対し「説明しろ」と圧を掛ける際に笑って見せるのがとても怖くて良かったなと思います。この五右衛門は割と人に対して自分の目で見定めるという意識が強く、十兵衛に刀を突き付けているところでも、才蔵が地下牢から飛び出してきてもまず自分自身で十兵衛がどういう人物であるかを見極めてから才蔵に任せるというのが興味深かったです。トラザさんの五右衛門は「陽」を演じている人だと思っているのですが、そういう自分の目で見て相手を信用するかどうかを決めているところにも五右衛門の本来持つ警戒心の高さが出ているのかもしれません。
私はどうしても甲賀衆の目線で観てしまうからか、五右衛門が言う「天があるから陰がある」という言葉を理解できないことが多いのですが、この日五右衛門は自分が陰のまま散っていっても、その代わりに他の人が平和に暮らせるのであればそれでいいと思っていることが分かってはっとしました。五右衛門がその考えに至るまで、いったいどれだけの理不尽に向き合ってきたのでしょうか。五右衛門が盗み屋をやっている理由も、ここにあるのだろうなと思います。佐助と刀を交えながらとても悲しそうにしていたのもとても印象的でした。
この日はとても良い回を観たという記憶があるのですが、何分終演後の秋の大告知が怒涛ですっかりメモをし損ねてしまい、何がなにやら分からなくなってしまいました……! とにかく秋までノンストップな上に盛りだくさんということは分かったので、全力でついていこうと思います。

9/4
~配役~
石川五右衛門:名古屋山三郎さん(以下「座長」)
真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)
戸沢白雲斎:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)
猿飛佐助:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)
恵比寿屋:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)
霧隠才蔵:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)
筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)
この日の五右衛門は座長。前回座長が五右衛門を演じていた日に十兵衛から「殺せ」と言われて驚くような表情を見せることに驚いたのですが、この日は十兵衛と戦っている時にとてもわくわくしている様子が見え、相手と戦うことにある程度楽しみを見出しているのがこの五右衛門なのだな、と思いました。五右衛門としては十兵衛と一戦交えるのは一種の楽しみのようなものなのだろうな……。
ダエモンさんの秀吉は四役目と思えないほど安定しているうえ、とても「正解」のような秀吉が出てきたという印象。この日一幕で五右衛門と十兵衛の話をしている時に、「生き方が下手な者」の話を聞いてお茶を啜る秀吉の目が揺らいだのがとても興味深く感じられました。
ダエモンさんの秀吉は、一度ラストシーンが人情に寄ったように感じたのですが、最近また自省と建設的思考を兼ね備えた人物になったように思います。個人的にはこの日のバランスがとても好きでした。
白雲斎はサンエーさん、佐助はトラスケさんのコンビ。この日二幕冒頭の朝鮮出兵で、瀕死となった白雲斎の怨みの籠った目を佐助が正面から受けていたのがとても好きでした。それでも佐助が怨の術を止めようとしていたのは、偏に白雲斎を死なせたくなかったからなのだと思います。
そんな佐助が五右衛門との戦いを経てぼろぼろになり、これ以上戦うことはできないと判断して死のうとするのがとても良かった……! この日はいつにも増して瀕死に見えて、佐助にとってもう死ぬ以外の選択肢が見えなくなっていたのだろうなと思いました。白雲斎に豊臣家を末代まで見届けろと言われると白雲斎に向かって手を伸ばして虚空を掴んでいたのも好きでした。自分はもう精神的に生きていくことができないから連れて行ってくれと言っているようだったなと思います。
才蔵との戦いでは、才蔵に対し「生意気な……!」と言っていて、この佐助にとっては才蔵の指摘など分かりきったことであり、今更言われたところでもう手遅れなのだろうなと思いました。
才蔵と十兵衛はこの日シロウさんとサンキューさん。この組み合わせ、恐らく初めてですよね……! 伏見城で絡繰からも言われていましたが、この二人が組むと親子らしさが出てとても良い関係性だったように思います。

9/5
~配役~
石川五右衛門:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)
真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)
戸沢白雲斎:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)
猿飛佐助:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)
恵比寿屋:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)
霧隠才蔵:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)
筧十兵衛:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)
この日の盗み屋コンビはジューローさんとサンジャクさん。この二人の組み合わせは以前にも観たことがありますが、なんというか天然ボケの五右衛門と悪乗りしやすい恵比寿屋という印象で、悪ガキたちがずっとコントをしていたように思います。きっと伊賀にいた頃からずっとこんな感じだったのだろうなと思います。
トラスケさんの秀吉は意外と為政者に寄っているのが面白いところ。それでいて甲賀衆に対する申し訳なさを持っていて、反省しているのが好きでした。ラストで元に戻った京の町で桜を見上げる佐助と目を合わせ頷き合っていて、秀吉なりに新たな世造りをするために全力を尽くす気があるのだと分かってとても良かったです。
ダエモンさんの白雲斎は少し久しぶりに観たような気がします。ダエモンさんの白雲斎は最後の最後まで厳しさを保っているのですが、怨の術を使う際にしっかりと佐助と向き合っていて、それがとても嬉しく感じられました。きっとダエモンさんの白雲斎の厳しさは優しさであり、佐助にはそのことが伝わっていたのだろうなと思います。
佐助はトラザさん。この日の佐助は冒頭からエンジン全開でずっと良かったのですが、一番衝撃だったのは五右衛門との一騎打ちに際して面頬を外したところ。覆面を外すと、その下で佐助が笑っていて震えました。「やれんのか」という言葉は、忍びとしての生き方から大きく外れている(ように見える)伊賀者の、そして伊賀の里すら抜けた忍びとも呼べない五右衛門に対する挑発と嘲り、そしてその実力に対する嫉妬のようなものが綯交ぜになっていたように思います。「来いよ」という五右衛門は微笑んでいて、おたくは佐助に仮託してこの『GOEMON』の最後の大一番に臨んでいたからか、五右衛門の微笑みにとても腹が立って、佐助の「お前ごときに分かるものか」「分かって堪るか」「分かった気になるな」という叫びのような剣筋がとても嬉しかったです。「鬼気迫る」とはこのことと思うほどの立ち回りで、トラザさんのことを追いかけてきて、天才を推していて本当に良かった、と改めて思いました。この日の佐助の立ち回りは、ずっと観たいと思っていた組紐術があったり、伏見城天守に五右衛門一行が到着したところで刀と鞘の二刀流が綺麗すぎるあまり長物を扱っているように見えたりと、二週間佐助をやっていない間に進化していて、本当に嬉しかったです。
この日、五右衛門に「天があるから陰がある」と言われた佐助の反応も好きでした。「天が晴れ」というところには怒りが籠っていたのですが、「陰がある」と呟くところには動揺が走っていて、五右衛門の言葉を理解しかけたものの、それでももう白雲斎が生き返ることはないという手遅れの状況に刀を握り直すという流れが見えてとても良かったです。白雲斎が怨の術を使って怨霊になった時も呆然として泣いていたり、白雲斎に生きることを命じられた後「さらばだ」と白雲斎が立ち去って頭を上げた時もぼろぼろと泣いていたりと、基本的に感情を露わにしない佐助だからこそ感情が出た時が印象的になるなと思いました。

9/6
~配役~
石川五右衛門:名古屋山三郎さん(以下「座長」)
真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)
戸沢白雲斎:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)
猿飛佐助:水谷健さん
恵比寿屋:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)
霧隠才蔵:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)
筧十兵衛:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)
五右衛門と恵比寿屋は金曜日と同じく座長とサンスケさんの組み合わせ。座長の五右衛門はとにかく軽く、その軽さだからこそ佐助との立ち回りでの真剣さが映えるのだろうなと思います。
サンスケさんの恵比寿屋は忍びの出身とは思えないほど潜入に置いて役に立たないのですが、五右衛門がそのことについてついに切り込んでいて面白かったです。この恵比寿屋、伊賀にいた時はどうやって生きていたのでしょう……。落ちこぼれにも程があるかもしれません。
サンキューさんの秀吉に対してはいつもラストの五右衛門と佐助の立ち回りの時に目を背けるな、と言いたくなるのですが、その弱さがこの秀吉の良さなのだろうなと思います。秀吉の弱さは優しさの裏返しであるため、最終的にはその優しさが佐助に向くのが救いなのかなと思います。
この日の甲賀衆は白雲斎はトラザさん、佐助は水谷さんという新しい組み合わせ!
トラザさんの白雲斎は朝鮮出兵の際に鉢巻を取るところが秀吉に対する忠誠を捨てた瞬間のように見えて好きです。ということを書き忘れたな、と思っていたので、極上ナゴヤカブキ前に記しておくことができて良かったです。ここで白雲斎が言う「最早これまで」という言葉は自分の命の終わりを悟った言葉であり、忠誠を尽くすのもこれまでと怨の術を使う決心をした瞬間の言葉であったのではないでしょうか。瀕死になった白雲斎が「死せば同じ冥府の闇を彷徨うのみ」と言いながら虚空に手を伸ばしていたのも好きでした。
また、怨の術の巻物を開いたところの台詞のトーンが、そこまでの怒りに満ちて張っていたものと対象的にとても低く静かなものになっていて本当に良かった……! この台詞の緩急が白雲斎へ興味を引くフックになっているような、そこで一度はっとさせられるような感覚があって好きでした。
白雲斎と佐助役のお二人は一幕で十兵衛がいる屋敷の門番として出てくる場面があり、組み合わせによってやることが変わるため、この日は何をやるのだろうか、と思っていたらなんとトラザさんと水谷さんによる素手での格闘が始まってとても嬉しかった……! トラザさんの「平和ボケ」という言葉は最近ナゴヤ座にしか出ていない水谷さんに対する発破のようにも聞こえて、このお二人だからこそのやり取りだったなと思いました。
才蔵はこの日夜公演の佐助に立ち向かう際の「俺は霧隠村の、伊賀の忍びだ」と言う声がいつもより小さくか弱かったのが印象的でした。才蔵が弱く自信のない子供から一歩成長するのは怪物との戦いですが、怪物より佐助の方がよほど恐ろしく強大で、一度大きくなった心も萎むものの、止めなければならない存在だからこそ、それでも立ち向かうのだろうなと思います。ここが才蔵にとって一番の勇気だったのではないでしょうか。
霧隠才蔵という人物は、十兵衛への敵討ちで動いていたところから白雲斎への敵討ちへ、そして敵討ちからの解放と伊賀の忍びとしての自覚と、作中でどんどん根幹が変わっていく人物ですが、それが才蔵の成長に繋がっていくのが面白いなと思います。
十兵衛はトラスケさん。十兵衛と才蔵が出会うシーンで階段に座っておられて、あまりの格好良さに一度思考が停止しました。
この日の十兵衛はいろいろと細かい感情の機微が見えて面白かったのですが、特に好きだったのが二幕のラスト。才蔵との別れは才蔵と十兵衛の組み合わせによっていろんな見え方がありますが、この日の十兵衛は才蔵が今後の進退を決めていなければ共に旅に行かないかと誘っていたのではないでしょうか。才蔵が五右衛門たちの元へ合流すると決めていると分かるとそれを尊重するのもトラスケさんの十兵衛らしいなと思いました。
なおこの日は絡繰がトラザさんだったため絡繰ー'sブートキャンプがあったのですが、絡繰が十兵衛に才蔵を抱えてスクワットをするように命じると「私情を挟むな!」と抗議していて笑ってしまいました。

これにて『GOEMON』は一旦お休みに入り、いよいよ次は極上ナゴヤカブキ『ROKUMONSEN』! 『GOEMON』の世界とどう繋がっていくのか楽しみです!















