静心なくお金飛ぶらむ

オタクの現場備忘録。内容と語彙がない。

GOEMON 2026.9.2-2026.9.6

9/2 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

9/4 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』夜公演@ナゴヤ座

9/5 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

9/6 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

 

 

 

 

9/2

~配役~

石川五右衛門:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

戸沢白雲斎:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

猿飛佐助:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

恵比寿屋:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

霧隠才蔵:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

 この日の五右衛門と恵比寿屋はトラザさんとトラスケさんのコンビ! 一幕で才蔵を追う五右衛門が「野暮用だ」と出ていくところでトラスケさんの恵比寿屋が「どっち行った?」と迷うのは最近よくやっておられますが、この日は五右衛門と反対方向に行こうとする恵比寿屋を急いで戻ってきた五右衛門が恵比寿屋の首根っこを掴んで引きずっていくのがこの二人のコンビならではで好きでした。この五右衛門はきっと恵比寿屋がついてくると当たり前に思っていて、そこに疑う余地はないのだろうなと思います。

 この日の五右衛門は秀吉に対し「説明しろ」と圧を掛ける際に笑って見せるのがとても怖くて良かったなと思います。この五右衛門は割と人に対して自分の目で見定めるという意識が強く、十兵衛に刀を突き付けているところでも、才蔵が地下牢から飛び出してきてもまず自分自身で十兵衛がどういう人物であるかを見極めてから才蔵に任せるというのが興味深かったです。トラザさんの五右衛門は「陽」を演じている人だと思っているのですが、そういう自分の目で見て相手を信用するかどうかを決めているところにも五右衛門の本来持つ警戒心の高さが出ているのかもしれません。

 私はどうしても甲賀衆の目線で観てしまうからか、五右衛門が言う「天があるから陰がある」という言葉を理解できないことが多いのですが、この日五右衛門は自分が陰のまま散っていっても、その代わりに他の人が平和に暮らせるのであればそれでいいと思っていることが分かってはっとしました。五右衛門がその考えに至るまで、いったいどれだけの理不尽に向き合ってきたのでしょうか。五右衛門が盗み屋をやっている理由も、ここにあるのだろうなと思います。佐助と刀を交えながらとても悲しそうにしていたのもとても印象的でした。

 

 この日はとても良い回を観たという記憶があるのですが、何分終演後の秋の大告知が怒涛ですっかりメモをし損ねてしまい、何がなにやら分からなくなってしまいました……! とにかく秋までノンストップな上に盛りだくさんということは分かったので、全力でついていこうと思います。

 

f:id:m328_0201:20260904134813j:image

 

 

9/4

~配役~

石川五右衛門:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

猿飛佐助:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

恵比寿屋:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

霧隠才蔵:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

 この日の五右衛門は座長。前回座長が五右衛門を演じていた日に十兵衛から「殺せ」と言われて驚くような表情を見せることに驚いたのですが、この日は十兵衛と戦っている時にとてもわくわくしている様子が見え、相手と戦うことにある程度楽しみを見出しているのがこの五右衛門なのだな、と思いました。五右衛門としては十兵衛と一戦交えるのは一種の楽しみのようなものなのだろうな……。

 

 ダエモンさんの秀吉は四役目と思えないほど安定しているうえ、とても「正解」のような秀吉が出てきたという印象。この日一幕で五右衛門と十兵衛の話をしている時に、「生き方が下手な者」の話を聞いてお茶を啜る秀吉の目が揺らいだのがとても興味深く感じられました。

 ダエモンさんの秀吉は、一度ラストシーンが人情に寄ったように感じたのですが、最近また自省と建設的思考を兼ね備えた人物になったように思います。個人的にはこの日のバランスがとても好きでした。

 

 白雲斎はサンエーさん、佐助はトラスケさんのコンビ。この日二幕冒頭の朝鮮出兵で、瀕死となった白雲斎の怨みの籠った目を佐助が正面から受けていたのがとても好きでした。それでも佐助が怨の術を止めようとしていたのは、偏に白雲斎を死なせたくなかったからなのだと思います。

 そんな佐助が五右衛門との戦いを経てぼろぼろになり、これ以上戦うことはできないと判断して死のうとするのがとても良かった……! この日はいつにも増して瀕死に見えて、佐助にとってもう死ぬ以外の選択肢が見えなくなっていたのだろうなと思いました。白雲斎に豊臣家を末代まで見届けろと言われると白雲斎に向かって手を伸ばして虚空を掴んでいたのも好きでした。自分はもう精神的に生きていくことができないから連れて行ってくれと言っているようだったなと思います。

 才蔵との戦いでは、才蔵に対し「生意気な……!」と言っていて、この佐助にとっては才蔵の指摘など分かりきったことであり、今更言われたところでもう手遅れなのだろうなと思いました。

 

 才蔵と十兵衛はこの日シロウさんとサンキューさん。この組み合わせ、恐らく初めてですよね……! 伏見城で絡繰からも言われていましたが、この二人が組むと親子らしさが出てとても良い関係性だったように思います。

 

f:id:m328_0201:20260907231512j:image

 

9/5

~配役~

石川五右衛門:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

猿飛佐助:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

恵比寿屋:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

霧隠才蔵:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

筧十兵衛:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

 この日の盗み屋コンビはジューローさんとサンジャクさん。この二人の組み合わせは以前にも観たことがありますが、なんというか天然ボケの五右衛門と悪乗りしやすい恵比寿屋という印象で、悪ガキたちがずっとコントをしていたように思います。きっと伊賀にいた頃からずっとこんな感じだったのだろうなと思います。

 

 トラスケさんの秀吉は意外と為政者に寄っているのが面白いところ。それでいて甲賀衆に対する申し訳なさを持っていて、反省しているのが好きでした。ラストで元に戻った京の町で桜を見上げる佐助と目を合わせ頷き合っていて、秀吉なりに新たな世造りをするために全力を尽くす気があるのだと分かってとても良かったです。

 

 ダエモンさんの白雲斎は少し久しぶりに観たような気がします。ダエモンさんの白雲斎は最後の最後まで厳しさを保っているのですが、怨の術を使う際にしっかりと佐助と向き合っていて、それがとても嬉しく感じられました。きっとダエモンさんの白雲斎の厳しさは優しさであり、佐助にはそのことが伝わっていたのだろうなと思います。

 

 佐助はトラザさん。この日の佐助は冒頭からエンジン全開でずっと良かったのですが、一番衝撃だったのは五右衛門との一騎打ちに際して面頬を外したところ。覆面を外すと、その下で佐助が笑っていて震えました。「やれんのか」という言葉は、忍びとしての生き方から大きく外れている(ように見える)伊賀者の、そして伊賀の里すら抜けた忍びとも呼べない五右衛門に対する挑発と嘲り、そしてその実力に対する嫉妬のようなものが綯交ぜになっていたように思います。「来いよ」という五右衛門は微笑んでいて、おたくは佐助に仮託してこの『GOEMON』の最後の大一番に臨んでいたからか、五右衛門の微笑みにとても腹が立って、佐助の「お前ごときに分かるものか」「分かって堪るか」「分かった気になるな」という叫びのような剣筋がとても嬉しかったです。「鬼気迫る」とはこのことと思うほどの立ち回りで、トラザさんのことを追いかけてきて、天才を推していて本当に良かった、と改めて思いました。この日の佐助の立ち回りは、ずっと観たいと思っていた組紐術があったり、伏見城天守に五右衛門一行が到着したところで刀と鞘の二刀流が綺麗すぎるあまり長物を扱っているように見えたりと、二週間佐助をやっていない間に進化していて、本当に嬉しかったです。

 この日、五右衛門に「天があるから陰がある」と言われた佐助の反応も好きでした。「天が晴れ」というところには怒りが籠っていたのですが、「陰がある」と呟くところには動揺が走っていて、五右衛門の言葉を理解しかけたものの、それでももう白雲斎が生き返ることはないという手遅れの状況に刀を握り直すという流れが見えてとても良かったです。白雲斎が怨の術を使って怨霊になった時も呆然として泣いていたり、白雲斎に生きることを命じられた後「さらばだ」と白雲斎が立ち去って頭を上げた時もぼろぼろと泣いていたりと、基本的に感情を露わにしない佐助だからこそ感情が出た時が印象的になるなと思いました。

 

f:id:m328_0201:20260908011937j:image

 

 

9/6

~配役~

石川五右衛門:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

戸沢白雲斎:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

猿飛佐助:水谷健さん

恵比寿屋:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

霧隠才蔵:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

筧十兵衛:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

 五右衛門と恵比寿屋は金曜日と同じく座長とサンスケさんの組み合わせ。座長の五右衛門はとにかく軽く、その軽さだからこそ佐助との立ち回りでの真剣さが映えるのだろうなと思います。

 サンスケさんの恵比寿屋は忍びの出身とは思えないほど潜入に置いて役に立たないのですが、五右衛門がそのことについてついに切り込んでいて面白かったです。この恵比寿屋、伊賀にいた時はどうやって生きていたのでしょう……。落ちこぼれにも程があるかもしれません。

 

 サンキューさんの秀吉に対してはいつもラストの五右衛門と佐助の立ち回りの時に目を背けるな、と言いたくなるのですが、その弱さがこの秀吉の良さなのだろうなと思います。秀吉の弱さは優しさの裏返しであるため、最終的にはその優しさが佐助に向くのが救いなのかなと思います。

 

 この日の甲賀衆は白雲斎はトラザさん、佐助は水谷さんという新しい組み合わせ!

 トラザさんの白雲斎は朝鮮出兵の際に鉢巻を取るところが秀吉に対する忠誠を捨てた瞬間のように見えて好きです。ということを書き忘れたな、と思っていたので、極上ナゴヤカブキ前に記しておくことができて良かったです。ここで白雲斎が言う「最早これまで」という言葉は自分の命の終わりを悟った言葉であり、忠誠を尽くすのもこれまでと怨の術を使う決心をした瞬間の言葉であったのではないでしょうか。瀕死になった白雲斎が「死せば同じ冥府の闇を彷徨うのみ」と言いながら虚空に手を伸ばしていたのも好きでした。

 また、怨の術の巻物を開いたところの台詞のトーンが、そこまでの怒りに満ちて張っていたものと対象的にとても低く静かなものになっていて本当に良かった……! この台詞の緩急が白雲斎へ興味を引くフックになっているような、そこで一度はっとさせられるような感覚があって好きでした。

 白雲斎と佐助役のお二人は一幕で十兵衛がいる屋敷の門番として出てくる場面があり、組み合わせによってやることが変わるため、この日は何をやるのだろうか、と思っていたらなんとトラザさんと水谷さんによる素手での格闘が始まってとても嬉しかった……! トラザさんの「平和ボケ」という言葉は最近ナゴヤ座にしか出ていない水谷さんに対する発破のようにも聞こえて、このお二人だからこそのやり取りだったなと思いました。

 

 才蔵はこの日夜公演の佐助に立ち向かう際の「俺は霧隠村の、伊賀の忍びだ」と言う声がいつもより小さくか弱かったのが印象的でした。才蔵が弱く自信のない子供から一歩成長するのは怪物との戦いですが、怪物より佐助の方がよほど恐ろしく強大で、一度大きくなった心も萎むものの、止めなければならない存在だからこそ、それでも立ち向かうのだろうなと思います。ここが才蔵にとって一番の勇気だったのではないでしょうか。

 霧隠才蔵という人物は、十兵衛への敵討ちで動いていたところから白雲斎への敵討ちへ、そして敵討ちからの解放と伊賀の忍びとしての自覚と、作中でどんどん根幹が変わっていく人物ですが、それが才蔵の成長に繋がっていくのが面白いなと思います。

 

 十兵衛はトラスケさん。十兵衛と才蔵が出会うシーンで階段に座っておられて、あまりの格好良さに一度思考が停止しました。

 この日の十兵衛はいろいろと細かい感情の機微が見えて面白かったのですが、特に好きだったのが二幕のラスト。才蔵との別れは才蔵と十兵衛の組み合わせによっていろんな見え方がありますが、この日の十兵衛は才蔵が今後の進退を決めていなければ共に旅に行かないかと誘っていたのではないでしょうか。才蔵が五右衛門たちの元へ合流すると決めていると分かるとそれを尊重するのもトラスケさんの十兵衛らしいなと思いました。

 なおこの日は絡繰がトラザさんだったため絡繰ー'sブートキャンプがあったのですが、絡繰が十兵衛に才蔵を抱えてスクワットをするように命じると「私情を挟むな!」と抗議していて笑ってしまいました。

 

f:id:m328_0201:20260909082001j:image

 

 

 これにて『GOEMON』は一旦お休みに入り、いよいよ次は極上ナゴヤカブキ『ROKUMONSEN』! 『GOEMON』の世界とどう繋がっていくのか楽しみです!

GOEMON 2026.8.26-2026.8.30

8/26 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

8/28 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

8/29 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』夜公演@ナゴヤ座

8/30 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

 

 

 

 

8/26

~配役~

石川五右衛門:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

戸沢白雲斎:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

猿飛佐助:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

恵比寿屋:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

霧隠才蔵:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

筧十兵衛:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

 この日の五右衛門はジューローさん、秀吉はダエモンさん。一幕冒頭の五右衛門と秀吉のやり取りがより一層コミカルになっており、その分五右衛門が立ち去った後の秀吉の怖さが増していたように感じます。ダエモンさんの秀吉はまだ「人」に傾くのか、「天」に傾くのか探っているような感覚があるのですが、ダエモンさんは「天」が似合うため怖い方が個人的には好きでした。

 

 白雲斎は座長、佐助はサンジャクさん。

 一度、夜公演が中止になった日だったかに、昼公演でサンジャクさんの佐助が組紐を使ったという話を聞いて、観たかったと歯噛みしていた演出をようやく観ることができました……! 刀と手を巻いて手から離れないようにするだけでなく、五右衛門の刀を組紐で受け止めていて、忍者が好きなおたくはとてもテンションが上がってしまいました。そもそもこの日の佐助、一幕冒頭の立ち回りからずっと動きの切れが良く見応えがあって好きでした。サンジャクさんの佐助は怒りが五右衛門に負けた時にようやく悲しみに変わって一気に押し寄せるような印象があり、そのタイムラグも良かったです。

 白雲斎は、最後の言葉は厳しめだったのですが、佐助が「死ぬことは許さん」という命令を受け入れると僅かに頷いて帰っていくのが見えて好きでした。

 

 恵比寿屋はトラスケさん。この日の恵比寿屋、何だかずっと動きが小動物のようで可愛らしかったです。この恵比寿屋はとても優しい性格で、一幕で十兵衛が才蔵の仇ではないと分かった時に一番ほっとしていたのは恵比寿屋だったように見えました。ラストの五右衛門と佐助の立ち回りの後は煙管を五右衛門にぐっと押し付けていたように見え、人が死なずに済んだことが恵比寿屋にとって一番の安心だったのではないかと思いました。

 

 才蔵はサンエーさん。伏見城天守での奇襲が失敗し佐助と見合うことになった才蔵の本能的な恐怖心というのか、佐助との力量差を理解させられてしまったようでとても良かったです。台詞のトーンもいつもと違ったように思うのですが、佐助の答え方も上手く調和していてサンエーさんとサンジャクさんのお芝居の上手さを改めて実感しました。

 

 十兵衛はこの日、一幕で五右衛門ら忍びたちの話を聞いているうちに霧隠村でのことに思い至った様子がじわじわと力が籠っていく手から分かるのが好きでした。十兵衛にとって霧隠村での一件はあんな結末を迎えるはずではなかったという怒りがあって良かったです。また、この日、二幕で伏見城天守に遅れて辿り着いた時の「近頃よ」という台詞には足掻いても足掻いても上手くいかない苛立ちや鬱憤が溜まっているように聞こえて、それを白雲斎に全部ぶつけていたのかなと思いました。

 ラストの五右衛門と佐助の立ち回りの場面では、五右衛門に刀を差し出す時に無言ではあるものの、目で「死ぬなよ」「戻って来いよ」と念を押しているように見え、五右衛門と佐助の戦いはどちらかが命を落とす可能性があるくらい佐助が本気なのだと分かってはっとしました。五右衛門と佐助の戦いは日によって印象が変わりますが、この日はそれくらい佐助から殺気が出ていたように感じます。

 

 才蔵と十兵衛は、一幕の段階ではまだ目が合わずすれ違っていて、個々の目的があるという印象ですが、すれ違いながらもお互いを気にしている様子があって好きでした。そこから伏見城への潜入を経た二人は、絡繰の強制排除モードによってピンチに陥るところで十兵衛が才蔵を庇って一人残るまでに関係性が成長するのですが、この日は才蔵が十兵衛に蹴飛ばされた後もしばらく「十兵衛!」と叫んでいてとても良かったです。

 

f:id:m328_0201:20260829010748j:image

 

 

8/28

~配役~

石川五右衛門:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

戸沢白雲斎:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

猿飛佐助:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

恵比寿屋:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

霧隠才蔵:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

 この日の五右衛門で好きだったのが、一幕の伏見城の地下牢での十兵衛とのやり取りでした。十兵衛から刀を奪って突き付けたところで十兵衛が「殺せ」と言うと五右衛門がとても驚いていて、五右衛門には一切その気がなかったのだと分かったのが良かった……! 五右衛門と十兵衛の間にこの一度の「負け」に対する認識の差があることが明らかになったように感じました。

 また、この日千鳥の香炉に願う「京の町を元に戻してくれ」という声がとても軽く、この五右衛門に取って千鳥の香炉に願いを掛けるというのは良い意味でそんなに大事なことではないのだなと思いました。京の町が焼け野原になってしまって、目の前にそれを元通りにできる力があるから使っただけなのではないかな……。その軽さが座長の五右衛門の強みなのだろうなと思います。

 

 秀吉は人によって白雲斎との向き合い方がさまざまだと思うのですが、トラスケさんの秀吉はあくまで自分が白雲斎から許されることはないという前提で向き合っているように見えて好きでした。白雲斎に対し「盛者必衰」と言う秀吉の姿は自分にもその言葉を向けているようで、それがトラスケさんの秀吉の強さなのだろうなと思います。

 

 前回トラザさんが白雲斎を演じられた日は最後まで秀吉に対して怒りを持ち続けていたように見えましたが、この日は割と冷静さが見えたのが面白かったです。秀吉が許されることがないと理解しているからなのか、白雲斎が秀吉に厳しい声音で圧を掛けつつも、その目の奥で秀吉に対して「佐助の面倒を見てくれ」と託しているように見えて大好きでした……! 秀吉もその白雲斎の意図を正確に汲んだから、白雲斎が去った後「白雲斎」と呼び掛けながらも佐助に向かって誓いを立てていたのではないかと思います。

 白雲斎はあまり立ち回り等はないのですが、怨の術を使うところの巻物を開いた瞬間の目や、雷に打たれた後の起き上がり、そして結界の珠の扱いの上手さといった節々にトラザさんの身体操作の巧みさが現れていて面白いなと思います。

 

 佐助はずっと待っていたサンエーさん! サンエーさんの佐助はこれまで存在していた佐助たちと比べて圧倒的に若く弱い佐助でした。この佐助、白雲斎の弟子のひとりで、忍術は教わっているものの、まだ若いため実戦経験は少なく、朝鮮出兵では主に伝令を任されていたのではないでしょうか。しかし、殿を務めることになり、命の掛かった戦場に立たされることになってしまったように見えました。この日の佐助は五右衛門と焼け野原になった京の町で対峙する際に忍者とは思えないほど素直に感情を露わにして泣いていたのですが、その根底には「自分がもっと強ければ白雲斎を守ることができたのに」という気持ちもあったのかもしれません。

 五右衛門との一騎打ちの佐助は、駄々っ子というか、白雲斎が死んでしまったことに対して納得したくなくて泣いているように見えました。五右衛門の「来い」という台詞はそんな末っ子の我儘を受け止めるようなトーンで、その優しさがとても良かったです。最後に五右衛門が手を差し伸べる姿は「一緒に帰ろう」と語り掛けているように見えましたが、佐助が首を横に振っていて、五右衛門たちのところはきっと暖かくて優しい場所ですが、佐助が帰りたい場所ではないから手を取ることができないのだろうな、と思いました。

 

 この日一幕で才蔵が筧十兵衛の元へ向かった際に門番の気を引くために投げ入れた巾着にお金ではなく分銅鎖が入っていたのが面白かった……! 以前も門番が中を出して「鎖だ」と言っている回を観たことがありましたが、分銅鎖と明言されたのは初めてではないでしょうか。才蔵は本当はお金を入れたかったものの、白虎の脇差を取り戻す依頼をした対価として払ってしまってあまり手持ちがなく、お金の代わりに仕方なく忍びの武器を入れて投げたのかな、と思いました。

 水曜日は佐助がサンジャクさん、才蔵がサンエーさんでしたが、この日はそれがぐるっと反転していて、ナゴヤ座ってやっぱり面白いところだなと思いました。

 

f:id:m328_0201:20260831175943j:image

 

 

8/29

~配役~

石川五右衛門:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

猿飛佐助:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

恵比寿屋:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

霧隠才蔵:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

筧十兵衛:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

 この日ジューローさんの五右衛門を観ていて面白かったのは、一幕の伏見城地下牢で十兵衛から刀を奪った時に一度刀を振りかぶってから才蔵を見て「好きにしろ」と十兵衛の進退を預けるところ。この五右衛門は才蔵が飛び出さなかったら切っていたのでしょうか。ジューローさんの五右衛門はラストの佐助との立ち回りでも最後の一太刀の後もう一度刀を振りかぶっている気がするので、そういうところはわりと冷酷な面を持っているのかなと思うのですが、どちらにせよ実際には刀を振り下ろすことがないのがこの五右衛門の弱さであり優しさなのかもしれません。

 

 秀吉は前日に続きトラスケさん。この日一幕の伏見城地下牢に行く前の五右衛門とのシーンで、「生き方が下手」な人たちのことをあまり理解していなような顔を見せていたのが面白いなと思いました。きっと秀吉は生き方が上手い側の人間で、だからこそ農民から太閤まで登りつめたのだと思いますが、こういう人は往々にしてできない人に対して無理解なのですよね……。それが、五右衛門らと出会って理解していくのがなんだか良かったです。

 

 座長の佐助はもう何度も拝見していますが、今までより怒りが強めだったように感じました。いつもぼろぼろに泣いているラストの五右衛門との立ち回りも、この日も泣いてはいるものの、それよりも獣のような気迫がありとても新鮮でした。

 対照的に、ラストの白雲斎がずっと泣きそうになっていて、その弱さも面白かったです。

 

 才蔵は前日に引き続きサンジャクさん。全てが終わった後の才蔵が楽しそうに笑っていて、ずっと真剣な顔ばかり見せていた才蔵がようやく年相応に笑うことができるようになったのがとても良かったなと思いました。

 

f:id:m328_0201:20260901165027j:image

 

 

8/30

~配役~

石川五右衛門:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

戸沢白雲斎:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

猿飛佐助:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

恵比寿屋:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

霧隠才蔵:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

筧十兵衛:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

 この日の甲賀衆はなんと金曜日と同じくトラザさんとサンエーさんのコンビ。

 白雲斎は一幕ではあまり感情が見えない印象だったのですが、この日冒頭の秀吉とのやり取りで「貴様らも」を強調していたり、佐助に「忘れるな」と語り掛ける声に悲しみが滲んでいたりと、感情が多く見えて面白かったです。この日の白雲斎は忍びたちが陰のまま散っていくことに対し怒りと悲しみを持っており、だからこそ陰が天を覆い隠すことで陰が陰のまま散っていくことはなくなるという考えが白雲斎の優しさでもあったのではないかと思います。

 『源氏物語』の中で、生きている女性は相手を責めることができず自分の身を嘆くことしかできない一方で怨霊となると相手を責めることができるようになるという研究を少しだけやったことがあるのですが、この日の白雲斎はまさにこれで、いざ死に直面してようやく秀吉や日本そのものを「憎い」と恨むことができるようになるのが好きでした。この日の怨の術を使う直前の白雲斎はメイクが血の涙のように見えたり、「憎い」という台詞の前に弱々しく「佐助」と呼び掛けていたりと、一つひとつの表現がとても興味深くて本当に良かった……! こんな弱った師を目の当たりにしたら佐助が命を賭けて戦うのも当然のことだよな、と思いました。金曜日は白雲斎が秀吉に佐助を託していた印象でしたが、この日は佐助に直接「お前は生きろ」と語り掛けており、その優しさが本来の白雲斎を彷彿とさせてそれも大好きでした。

 

 佐助は金曜日より少し強くなっていたように感じますが、やはりとても弱いのが良いなと思います。金曜日は幼さ故の弱さという印象でしたが、この日は精神的支柱を失ったからこその弱さという印象。この佐助は、自分たちが道理に合わないことをしていることは分かっていて、だから才蔵にそのことを指摘されると自分を殴って揺らがないように戒めるのですが、道理が通っていなくても、分が悪くても、戦わずにいられないから刀を取るのだろうなと思いました。

 この日は座っていた位置の関係上、花道にいる佐助越しに秀吉と五右衛門を見る瞬間があったのですが、光の当たるところにいる二人が何だかとても遠く感じられて、佐助の孤独が増したように感じました。五右衛門に負け、ふと五右衛門たちを見ると自分だけが一人取り残されていることに気が付いてしまって、だから白雲斎のところに行こうとするのだろうなと思います。

 五右衛門との立ち回りの中で力の入らない腕を噛み痛覚によって無理やり刀を握りなおすのは金曜もやっておられましたが、この日は更にその限界の中での判断が明確になっていて好きでした。

 

 才蔵はこの日水遁の術を使う際に白虎の脇差を使っていたのが面白かったです。あの水遁の術ってそもそもわりとファンタジー忍術だと思っているのですが、だからこそ遁法に一切関係しないであろう白虎の脇差を使うという発想がこのおたくになく、とても驚かされました。これ、白虎の脇差ではなく玄武の脇差であれば完璧なのに……!

 またこの日、才蔵が佐助との戦いで白虎の脇差とその鞘の二刀流で戦っていて面白かったです。才蔵にとって白虎の脇差がキーアイテムになっているため、いろんな才蔵がこの佐助との戦いの中で白虎の脇差を使うようになっていますね……!

 

f:id:m328_0201:20260901165045j:image

 

 

 いよいよ極上ナゴヤカブキ『ROKUMONSEN』前の通常公演は残すところあと一週間! どんな『GOEMON』が見られるのか、最後まで楽しみにしております!

GOEMON 2026.8.21-2026.8.23

8/21 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』夜公演@ナゴヤ座

8/22 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』夜公演@ナゴヤ座

8/23 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

 

 

 

 

8/21

~配役~

石川五右衛門:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

猿飛佐助:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

恵比寿屋:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

霧隠才蔵:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

 この日は全体的にとてもバランスが良く、良いお芝居を観ているなという感覚がありました。

 

 この日の五右衛門は座長、秀吉はダエモンさん。この組み合わせは初めてだったのですが、ダエモンさんの秀吉(というか真柴久吉)が持たせている含みをしっかり受信しているのがとても良かったなと思います。このお二人、真面目と遊びのバランスの取り方が似ているのでしょうか。空気感が揃っていて好きなコンビでした。

 

 座長の五右衛門はしっかりしているようで軽く、自分の命も軽く見ているのが怖いなと思います。すぐに命を賭けようとしてしまうジャンキーな面があり、恵比寿屋はそのストッパーの役割を果たしているのだろうなと思いました。一幕の終わりに伏見城についていくことを決めるのも、千鳥の香炉はあくまで建前に過ぎず、本当は五右衛門を死なせないためなのではないでしょうか。

 

 白雲斎はジューローさん、佐助はトラザさん。このお二人の組み合わせは恐らく五月ぶりで何だか新鮮に感じられました。

 この日は、二幕冒頭で白雲斎が怨の術を使おうとした際に佐助が縋り付いて止めようとした結果、跳ね除けた反動で白雲斎自身も倒れ込んでしまったのがとても良かった……! また、白雲斎が死んでこの世ならざる者に変質してしまったところで号泣しており、守れなかったこと、そして怨の術を使わせてしまったことを悔やんでいることが分かって好きでした。前回拝見したトラザさんの佐助は影のまま散っていくことに対する怨みが強く感じられましたが、この日の佐助は白雲斎への感情の方に重点が置かれていたように思います。

 五右衛門はラストで佐助と刀を交えながら、「これ以上戦いたくないからもうやめてくれ」「これ以上立ち上がらないでくれ」という顔をしていましたが、佐助が何度も立ち上がってしまうためにとても辛そうだったのが良かったです。座長の五右衛門が佐助に手を差し伸べるのはいつものことですが、何だかトラザさんが佐助の日は五右衛門が特に苦しそうで残酷に見えるのが面白いところ。それはトラザさんの佐助の客席に見えない表情のせいなのだろうか、と思いながら観ていました。

 白雲斎の「それまでは死ぬことは許さん」という言葉に対する返事はとてもはっきりしていて、悲しみは強く残りながらも、自分の主君の最期の命令に応えようとするような意思もあって好きでした。

 

 恵比寿屋は五右衛門が佐助に手を伸ばしたものの取ってもらえず泣きそうな顔をしている時に恵比寿屋自身も少し傷付いた表情をしてたように見え、それも大好きでした。

 

f:id:m328_0201:20260824194350j:image

 

 

8/22

~配役~

石川五右衛門:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

戸沢白雲斎:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

猿飛佐助:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

恵比寿屋:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

霧隠才蔵:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

 この日はおたくが朝っぱらから桑名に出向いており、ちょっと疲れ気味だったこともあってふんわりとした見方になってしまいました。

 一番好きだったのは佐助が怨の術を使おうとする白雲斎を止めるところ。縋るような懇願するような止め方をしていて、こんなに優しくて弱い止め方があるのか、と驚きました。

 

 また、この日は白雲斎が座長だったため、伏見城で才蔵と十兵衛の前に立ちはだかる絡繰は物理攻撃の隙間を叩くシステム。しかしながら、サンキューさんの性格が出てしまうのか、いくら十兵衛が絡繰を叩いてもまったく良い音が鳴らず、攻撃がとても優しくて面白かったです。

 

f:id:m328_0201:20260824194406j:image

 

 

8/23

~配役~

石川五右衛門:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

猿飛佐助:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

恵比寿屋:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

霧隠才蔵:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

筧十兵衛:水谷健さん

 この日は金曜日と似た配役。

 五右衛門はトラザさん。秀吉から「千鳥の香炉」という言葉を聞いた時や、恵比寿屋の話を聞いて野暮用を思い出したと出ていく時、そして伏見城天守で白雲斎の誘いを断る時など、ところどころ笑顔が消える瞬間があり、五右衛門が見せたい姿を推察することができて好きです。

 トラザさんの五右衛門が持つ煙管は、五右衛門の演じる「軽さ」の象徴だと思います。この日、秀吉に刀を向ける佐助が白雲斎が死んだことに対する理由を求めていたように見えました。秀吉から答えを貰った佐助の消化しきれない感情を受け止めるのが五右衛門の役目で、だから五右衛門は煙管を恵比寿屋に預けて真剣を手に取り、事が片付くとまた煙管をふかすという流れがあったように見えて好きでした。

 

 秀吉はダエモンさん。ダエモンさんの秀吉は初日に観た時は為政者の面が強く、感情と理屈を分けて考えているという印象だったのですが、今週に入ってからより感情が出るようになっていて面白いなと思います。秀吉なりにさまざまなことを考えて施策を打ってきたものの、どうしても全員を掬い上げることができないもどかしさがあって好きでした。

 なおダエモンさんの秀吉を見ていて思ったのですが、もしかしてOPの秀吉に対するオオムコウのところって伏見城から逃げてきたところだったのですか……? 明確に秀吉が逃げてきたと感じたのが初めてで衝撃を受けました。

 

 白雲斎はサンキューさん、佐助は座長。佐助が答えを求めていたように見えた話は前述の通りで、秀吉が謝ると「そういうことが聞きたいわけじゃない」というような眼で見ていたのが印象的でした。五右衛門との最後の立ち回りでは、五右衛門が「来いよ」と言って刀を抜いた時に鮮烈な眩しさを感じたのではないでしょうか。必死でぶつかるしかできないのですが、天の眩しさには勝てないことを実感してしまうような遣る瀬無さがあってとても好きでした。

 

 恵比寿屋はサンエーさん。昼公演の一幕冒頭の「命がいくつあっても足らへんで」という台詞の声音にとても重みがあり、恵比寿屋がずっと五右衛門のことを見守ってくれているのだろうなと感じました。

 サンエーさんの恵比寿屋はとてもオールマイティで、相手の五右衛門によって臨機応変に表現を変えていると思うのですが、この日佐助と刀を交えた後の五右衛門が煙管を受け取る際に少し時間がかかっていて、それを恵比寿屋がじっと待っていてくれたのが好きでした。この煙管を受け取る前の客席に背を向けた状態の五右衛門は佐助から受け取った感情を整理していたのだと思うし、それが五右衛門の偽りのない姿なのだろうなと思います。

 

 才蔵はサンスケさん、十兵衛は水谷さん。

 水谷さんのご出演自体久しぶりだったのですが、一か月ほど前にご出演された時は配役が佐助。十兵衛はなんと二か月ぶりだったそうで、道理で新鮮に感じられるわけだと思いました。この日の白雲斎がサンキューさんだったため、伏見城では謎のじゃんけんを繰り出してくる絡繰と対峙する羽目になったのですが、見事じゃんけんに対応していて凄いなと思いました。

 

f:id:m328_0201:20260825204254j:image

 

 

 今週は夏が戻ってきたような暑気でしたが、新しい組み合わせもいろいろと観られて興味深い週となりました。極上ナゴヤカブキ『ROKUMONSEN』もそろそろ見え始めてきて、あと二週間でどんな『GOEMON』が生まれるのか、そしてどう『ROKUMONSEN』に繋がっていくのか、楽しみが止まりません! 来週も暑くなりそうですが、全力で観劇します!

STAY GOLD NIGHT 2026.8.18

8/18 『忍者隠密隊B.C.A x イトイズント & FR』~HANZO生誕・STAY GOLD NIGHT~@NAGOYA JAMMIN'

 

 

 

 

イトイズント&FR

 

~配役~

ヒナタ:優希さん

シシド:中西桃子さん

チチブ:雅寛-がかん-さん

クック:武藤暖空さん

六郎:三角ダイゴさん

シーナ:角真里奈さん

 

~セットリスト~

1.STAY GOLD 学祭ver.

2.カッとくる!

3.クソッタレな夜

4.STAY GOLD(Hi-STANDARD COVER)

5.D.I.Y

6.アナーキー・インザ U.K.(SEX PISTOLS COVER)

7.明日はいいことがあるから

8.まだ答えはいらない

9.STAY GOLD

 劇団アルクシアター『STAY GOLD』自体は観劇に行くことができなかったのですが、なんと忍者隠密隊B.C.Aと対バンでライブをするとのことで、おたくもご機嫌で行ってきました。

 

 幕が開くと、イトイズントの皆様がバイクを唸らせてご登場! そこに忍者隠密隊B.C.Aの皆様が馬(と主張しているバイク)に乗って乱入するという早速の混沌が発生。ライブに不慣れなヒナタをTANBA様がおちょくりながら激励し、「イトイズント」コールを煽ってステージはイトイズントだけになりました。

 仕切り直しの一曲目は「STAY GOLD 学祭ver.」。この曲、恐らく『STAY GOLD』のテーマ曲だと思うのですが、何度も聞くことによって耳に馴染む曲だなと思います。続く「カッとくる!」はヤンキーテーマらしいツッパリなサウンド。「天下無敵の鬼姫参上」のところ、恐らくレディースのパートだと思うのですが、ヒナタが堂々と歌っていて少し面白くなりました。

 

 セットリストではここで「クソッタレな夜」が入っているのですが、何かもう一曲くらいその前にあったような……? 「クソッタレな夜」は、音源だと綺麗めな印象がありましたが、実際にライブで拝見すると、振り絞るように歌っていて、「ヒナタ」という人物の若さと、理解されない悔しさのような鬱屈とした感情が昇華したような感覚があって「音楽だな」と思いました。

 

 Hi-STANDARDの「STAY GOLD」は正直あまり記憶がなく……。Hi-STANDARDって確か日本のバンドですよね。ジャンル的にはメロコアだと聞いたことがあるのですが、こういう音楽はあまり聞いたことがなかったかもしれません。

 

 六郎&シーナを迎え入れての「D.I.Y」は、『STAY GOLD』のアルバムの中で特に気に入っていた曲だったため、ライブでも聴くことができて嬉しかった……! この曲、パンクの成り立ちを教えてくれているのだと思うのですが(本編を観ていないため違っていたらごめんなさい)、それがとても分かりやすくて良かったです。

 「パンクの始まりの曲」を一緒にやろう、ということで、始まったのは「アナーキー・インザ U.K.」。これはセックス・ピストルズのカバーでした。パンク・ロックの興りはアメリカですが、このバンドはイギリスのバンド。何故これが「パンクの始まり」なのだろう、と身内の音楽おたくに聞いたところ、セックス・ピストルズの登場は衝撃で、「パンクらしい」サウンドやファッションはここから始まったらしく、なるほど、と思いました。シーナの衣装にチェックが使われているのがUKらしさがあるな、と思っていたのですが、この六郎やシーナがUKバンドに影響を受けているということなのかな、とここで納得しました。

 

 「明日はいいことがあるから」と「まだ答えはいらない」は初めて聴いた曲だと思います。新曲と仰っていた気がするのですが、本編を知らない身ではこれが本当に新曲だったのが、本編で示唆されていた曲だったのかは分からなかったのですが、恐らく『STAY GOLD』のファンであろう皆様から歓声が上がっていてとても良かったです。

 

 最後はもう一度「STAY GOLD」! よく見たらこのセトリ、3回も「STAY GOLD」という曲が登場しているのですね。「STAY GOLD」と聞くと『HiGH & LOW』の曲が頭を過ってしまうおたくなので、ヤンキーの文脈と「STAY GOLD」という言葉の親和性についてつい考えてしまいます。

 

 イトイズントは今回が初ライブだったそうですが、時々不安になりながらもステージを真っ当する様子がとても良かったです!

 

 

忍者隠密隊B.C.A

~セットリスト~

1.花歌

2.START

3.勝歌

(体術訓練)

4.守って守って守り抜く

(MC)

5.暗獣

6.お前の愛を主にするなら

7.Present Day

8.謳歌

(大セッション)

9.勇気100%

10.リンダ リンダ

 今回の忍者隠密隊B.C.AのライブはHANZO様の生誕ライブ! 普段はペンライトをピンクに変える「花歌」も、今回は黄色に変えて、満開の向日葵畑からライブが始まりました。ちょうど夏にHANZO様の生誕ライブがあり、いつもHANZO様が煽る「花歌」でペンライトを黄色にすれば、「花」が桜から向日葵に変わるというのがとても面白く、思わず一曲目から感心してしまいました。

 続く二曲目は「START」。TANBA様に「跳べ」と言われたらいつでも曲に合わせて跳ぶことができるようになってきたおたくなので、今回も力いっぱい跳びました。いつも曲の最後で拳を突きあげるのですが、TANBA様はそのまま拳を挙げておけと仰って、そのまま三曲目の「勝歌」に。「勝歌」はHANZO様のパートが多いため、このHANZO様の生誕ライブの冒頭にぴったりだな、と思いました。なおいつものように「勝歌」でTANBA様Jr.なる人形が客席に放り込まれたのですが、B.C.AのTシャツの下にこっそり「HOT LIMIT」の黒ガムテープが貼られており、『LOCAL BEAT』でのTANBA様を思い出して笑ってしまいました。

 

 ここで自己紹介とMCを挟んでから体術訓練! 補佐でくノ一の魔矢様とくノ一の皐様が出て来られてとても嬉しかったです。魔矢様、前回の『LOCAL BEAT』でチェキのスタッフをしてくださっていた時も思ったのですがやっぱりほっそりされましたね……! 弛まぬ努力の賜物に相違なく、流石魔矢様でした。皐様は髪型があまりにも可愛く、もう何度目かわからない恋を感じました。皐様のヘアアレンジの豊富さ、あまりにもありがたいです。

 

 体術訓練のあとは安定の「守って守って守り抜く」。いつものように客席に飛び出していったTANBA様がいつものようにおたくたちの首を斬ったり椅子の上をステージにしたりしていたのですが、最後に守られた方が悲鳴を上げていてとても面白かったです。

 

 今回セットリストが公式から出ていないためあやふやなのですが、確かここでHANZO様が突然お衣装を脱ぎ捨てタンクトップとショートパンツという目の遣りどころに困るお姿に変身されました。動揺するおたくを置き去りに、HANZO様は小分けのコグミがたくさん入った籠を取り出してこれをひっくり返すと宣言し、TANBA様が一つでも取ることができたら合格という謎のゲームが始まりました。結局すべてのコグミが客席にぶちまけられ、TANBA様は一つも取ることができず、何だか少し哀れでした。

 HANZO様はこの衣装のままソロダンス演目である「暗獣」に突入……! そのお衣装で本当に良かったのか、今でもまだ分かりません。格好良いはずのソロダンスがじわじわ面白くて不思議な感覚でした。

 「暗獣」が終わると、お衣装をチェンジしたTANBA様がHANZO様と入れ違いで戻ってきて「お前の愛を主にするなら」。途中でHANZO様も元のお衣装で戻られて、あのタンクトップ姿は忍者隠密隊B.C.A夏の二大幻覚となりました。この曲は本来ヘドバンをするところがあるものの、普段おたくはさぼりがち。しかし、今回は対バン相手がパンクだというので久しぶりにヘドバンをしたところ、翌日しっかりと肩がばきばきになりました。鍛錬が足りません。

 

 「Present Day」まで来るとライブも終盤。TANBA様の発汗量も尋常でないほどに。それでも最後まで振り絞るように歌っておられて、とても格好良かったです。それにしても最後にタオルを投げてしまわれましたが、あのタオルって予備があるのだろうか、と要らぬ心配をしております。

 

 最後の一曲は「謳歌」! イトイズントの時に残り二曲と言われて「えー」と不満げな声を出したおたくたちですが、これが忍者隠密隊B.C.Aのライブとなると話は別で、今度は高らかに「Yeah!」と声を上げます。「謳歌」は一月のライブでもTANBA様がギターを弾いてくださっていましたが、今回はついにHANZO様もベースで参加! 忍者隠密隊B.C.Aの四年の歴史の中で初めて全員が楽器を持っている姿を観ることができました。ステージの中央でギターボーカルをTANBA様が務めておられる光景が何だかとても感慨深く、嬉しさのあまり泣きそうになってしまいました。HANZO様もベースを弾きながらちゃんと歌っておられて、その器用さに恐れ慄きました。ベースボーカルって難しいと聞きますよね……。本当にこの「謳歌」がとても良かったので、公式のYoutubeから投稿されないものかと思っております。何卒お願いします……。

 

 「謳歌」が終わるとイトイズントの皆様も出て来られて大セッションに移行。どこだったかで、TANBA様がにこにことHANZO様に「楽しいな!」と仰っていて、この四年間忍者隠密隊B.C.Aを追いかけてきたのは楽しそうに笑っている推しが観たいからなのだなあ、と改めて思いました。

 大セッションは「勇気100%」と「リンダ リンダ」の二曲。この曲選、忍者隠密隊B.C.Aの忍者要素を汲んだ「勇気100%」と、イトイズントのパンク要素を汲んだ「リンダ リンダ」だったのでしょうか。実はこのおたく、小学生の頃に映画館で『リンダ リンダ リンダ』を観て以来、一時期THE BLUE HEARTSにハマって同じアルバムを繰り返し聴き続けていたことがあったため、まさかここで聴くことができると思わず、飛び上がって喜んでしまいました。

 この大セッション、TANBA様とクックが一緒に歌っているところが観られて、武藤さんの緩いファンとしては嬉しかったな……! TANBA様が最前列の柵への足の掛け方を指導しているように見えたので、次回イトイズントと対バンする際にはクックが柵に足をかけて煽っているところが観たいものです。

 「リンダ リンダ」の最後のキメのタイミングをHANZO様がやっておられたのもいつもと違って嬉しかったです! 改めてお誕生日おめでとうございました!

 

f:id:m328_0201:20260820200611j:image

 

 

 今回のライブは本当にJAMMIN'ではあまり観たことがないくらいの大満員! 身体はばきばきですが、とても楽しかったです。しかも今回は忍者隠密隊B.C.Aといえばというべき「Black Clad Assassin」をやっていないのですよね。それこそ忍者隠密隊B.C.Aが初ライブの時はまだ曲も少なく、今回イトイズントが最初と最後に「STAY GOLD」をやったように最初と最後に「Black Clad Assassin」をやっていたような記憶があり(違ったらごめんなさい)、この四年で名刺代わりの一曲に頼らずともライブが成立するほど成長したのだなあ、と思うと本当に嬉しいです。

 しばらく忍者隠密隊B.C.Aの出陣はないそうですが、百地様は今週珍しくご出陣があるため、桑名への遠足も楽しみです! 今回もお疲れ様でした!

GOEMON 2026.8.12-2026.8.16

8/12 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

8/14 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

8/15 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

8/16 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

 

 

 

 

8/12

~配役~

石川五右衛門:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

猿飛佐助:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

恵比寿屋:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

霧隠才蔵:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

筧十兵衛:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

 この日の白雲斎はダエモンさん、佐助はトラスケさん。

 この日の佐助は二幕の冒頭の朝鮮出兵のシーンで白雲斎が怨の術を使おうとした時に縋りついて制止しようとしていたものの、白雲斎から目で制されて少しずつ下がって行くのが好きでした。白雲斎の覚悟が佐助を圧倒したのだろうな……。

 先週の土曜に観たトラザさんの佐助は影のまま散っていくことに対する怒りが強かったように見えましたが、この日のトラスケさんの佐助は白雲斎を失ったことに対する悲しみの方が圧倒的に大きく、とても弱々しく見えたのがとても面白かったです。五右衛門に刀を向けるも弱さがありましたが、五右衛門は五右衛門で佐助の悲しみを全て受け止めてしまって、佐助に生きてほしくて仕方がない様子で可哀想でした。最後の一太刀の後、五右衛門は手を差し伸べて何度も佐助に向かって突き出していて、それが「手を取れ、取ってくれ」という懇願のように見えて大好きでした。

 

 才蔵はサンエーさん。才蔵はこの日佐助との立ち回りの中で、五月雨を受けて一瞬意識が飛んでいたのがとても良かった……! そもそもトラスケさんの佐助×サンエーさんの才蔵×トラザさんの十兵衛という組み合わせがとても好きなので、この日は個人的にとても良い配役でした。

 

 トラザさんの十兵衛はこの日一幕の情報共有の場面で、「何が何だか分からなくなってきた!」と言いながらがしがしと頭を掻きまわしていたのが大好きでした。本当にいっぱいいっぱいになっていることが分かって、今まで剣一本で生きてきた十兵衛にとって忍びの世界や千鳥の香炉の話はとてもややこしいのだろうなと思いました。

 また、この日サンエーさんによる絡繰ロボが才蔵に十回クイズを出している間、十兵衛がビームに撃たれ続けるという時間があり、とても大変そうでしたが面白過ぎて大笑いしました。目の前で十兵衛が反り返っている状況、笑いのツボが浅いおたくには耐えきれません。

 またこの日は一幕から才蔵としっかり目が合い続けていて、この二人のアイコンタクトが大好きなおたくとしては本当に嬉しかった……! やっぱりこの二人のコンビって良いな、と再確認しました。

 

f:id:m328_0201:20260818010652j:image

 

 

8/14

~配役~

石川五右衛門:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

戸沢白雲斎:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

猿飛佐助:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

恵比寿屋:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

霧隠才蔵:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

筧十兵衛:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

 この日の五右衛門はトラザさん、恵比寿屋はトラスケさん。このコンビはなんとまだ二回目! この日の盗み屋コンビは今までにあまり感じたことがないレベルのコンビ感で、一幕で佐助に「我と共に来い」と言われた五右衛門が断る際に当たり前のように恵比寿屋が五右衛門の横に並び立ち一緒に舌を出していたり、佐助の五月雨を受けた十兵衛を見て五右衛門が「恵比寿屋!」とだけ言うと恵比寿屋がその意図を汲んで十兵衛に薬餅を塗っていたりと、意思の疎通がスムーズでとても良かったです。

 五右衛門の佐助とのラストの立ち回りでは、佐助に対してどうして良いのか分からないような、自分がサンドバッグになって受け止めるしかないような、そんな悲しみがあって良かったです。なおここ、恵比寿屋が十兵衛に目で「刀貸したってや」というように合図をしていてそれも好きでした。

 

 秀吉は新役、ダエモンさん! 初めて拝見したはずですが、あまりの安定ぶりにずっと拝見していたような気分になりました。佐助の言葉で正体が五右衛門らに知られてしまうところでは、下から見上げた秀吉の眼の恐ろしさにぞっとしました。秀吉は演じる方によって全然違うラストを迎える印象で、この日の秀吉は反省や後悔を持ちながらもあくまで情ではなく為政者として何がなせるかを見据えているように見えて大好きでした。

 

 白雲斎は座長、佐助はサンジャクさん。この日ボール投げの後ずっと佐助が怒りのあまり笑ってしまうのが印象的でした。使い捨てられることに憤りここまで走ってきても、天にどうしても敵わないって苦しいなと思います。

 

 才蔵は新役となったジューローさん。この日、サンジャクさんの新役が期待されていたため、ジューローさんはノーマークになっており、ちょい見せの十兵衛の部下にいることにおたくたちがじわじわと気が付いていくのが何だか面白かったです。

 ジューローさんの才蔵はずっと弱いのが面白いところ。勇気を振り絞って水遁の術を使うのですが、その後も大きく成長したというよりは一歩進んだという感覚でした。今回あまり才蔵に注目して観ることができなかったため、次はもう少し細かく観たいです。

 

f:id:m328_0201:20260818122957j:image

 

 

8/15

~配役~

石川五右衛門:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

戸沢白雲斎:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

猿飛佐助:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

恵比寿屋:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

霧隠才蔵:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

筧十兵衛:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

 この日の五右衛門はジューローさん、恵比寿屋はお待ちかねのサンジャクさん。この日の盗み屋コンビは一幕からどつき漫才の空気があり、そのやり取りがラストの五右衛門対佐助の立ち回りの際に恵比寿屋が煙管を預かるところで五右衛門の背中を押すようにリフレインするのが好きでした。煙管を返す恵比寿屋の表情も良く、何があってもこの恵比寿屋は変わらずそこで待っているのだろうな、と感じました。

 それにしてもサンジャクさんの恵比寿屋は、これまで賢さと優しさの配合比の差が出ているという印象だった恵比寿屋たちの中でかなり異質で、ノリとゴキブリ並みの生命力で数々の局面を乗り越えてきたという印象を受けました。二幕の化物に追いかけられる場面で五右衛門が「恵比寿屋は絶対大丈夫だ」と言いますが、過去一番説得力があったように思います。

 

 白雲斎は新役、トラザさん! トラザさんが今まで演じてきた三役はすべてちょい見せに登場するため、ちょい見せに出て来られない時点で新役は確定。秀吉と白雲斎なら白雲斎だろう、と予想した通り、真っ白な姿で出てこられました。

 トラザさんの白雲斎はわりと一幕での恨みや怒りは控えめで、どちらかというと諦めや自分の死に場所を探しているように見えました。一方で、最後に秀吉と話す場面ではまったく許していない様子で面白かった……! 白雲斎は秀吉を許したつもりはないにもかかわらず、秀吉が勝手に許されたつもりになっているように見えて、それが秀吉の罪の根幹なのだろうなと思いました。佐助への言葉も、佐助を生かすためであると同時に秀吉が悪政を敷くことがあれば即座に命を取れという命令の方が強いように感じられtえ、そのぶれなさが好きでした。それでも根底には優しさがあり、ラストで千鳥の香炉によって京の町が元通りになっても白雲斎だけがいないことが悲しくて仕方がありませんでした。

 そしてこの日の白雲斎といえば、怨の術を使った後の蘇りの瞬間が凄まじかった……! 死んだかと思うと、ぴくりと身体が動き、そこから一度大きく反り返って起き上がるというまさに死人のような動きをしており、「やってほしい」と思ったことがすべて目の前で起こっていて嬉しかったです。あの起き上がり、少し劇団☆龍童子『ZAION』でアキトがゲノムとして覚醒した時のようで、黒い羽根が舞う景色を思い出しました。立ち上がった白雲斎が手を開いて身体の感覚を確かめてから笑っていたのも良かったです。

 

 十兵衛もこの日新役だったサンキューさん。サンキューさんの十兵衛、ずっと観たかったので嬉しかった……! 筧十兵衛という人物は本来真田十勇士の一人である筧十蔵の父親であるため、当たり前といえば当たり前ではありますが、家庭などの守らなければならないものがあるにもかかわらず戦の世が落ち着き、剣で生計を立てるのが難しくなったという焦りが伝わってきて、サンキューさんだからこその十兵衛だなと思いました。

 

f:id:m328_0201:20260819143921j:image

 

8/16

~配役~

石川五右衛門:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

猿飛佐助:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

恵比寿屋:名古屋参雀久さん(以下「サンジャクさん」)

霧隠才蔵:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

筧十兵衛:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

 この日の五右衛門はトラザさん、恵比寿屋はサンジャクさん。前日の新役初日の恵比寿屋は大暴れという印象がありましたが、この日は五右衛門が少し大人っぽかったこともあってかバランスが取れて見えました。トラザさんの五右衛門って意外と湿度が高くて重いところがあるため、サンジャクさんの軽やかな恵比寿屋がちょうど良かったのかもしれません。トラザさんの五右衛門は一幕で霧隠村の話を聞いて才蔵の後を追う時にいつも跳ね起きをして恵比寿屋を置いていくという流れですが、この日は恵比寿屋と同時に跳ね起きをして連れ立って出ていったり、伏見城ロボ対ジャイアントお餅マンの最後の大技で二人が一緒に九字印を組んでいたりと、この二人ならではのペアになっていて良かったです。

 恵比寿屋が五右衛門のことを小突き、五右衛門が秀吉の背中を叩くという力関係でしたが、秀吉は恵比寿屋に対し強いというじゃんけんのような三竦みが成立していて面白かったです。五右衛門は一幕で正体が判明した秀吉に「説明しろ」と詰め寄るところにとても険があり、ただ「豊臣秀吉だから」という理由で従うことがないのが五右衛門の強さの一つなのだろうなと思いました。

 

 この日の五右衛門は、最後の佐助と対峙して「お前も影なら死ぬべきだ!」と言われた際に「そうかもしれない」と思ってしまったように見えました。元々トラザさんの五右衛門は佐助と鏡写しになっているため、佐助の抱えている悲しみや苦しみは五右衛門のものでもあるのですが、この日の五右衛門は日陰者でありながらも天に立つものの痛みも理解していたような感覚があり、だからこそ佐助の言葉が重く刺さったのかもしれない、と思いました。二人の立ち回りの最後の一太刀の後、五右衛門が静かに刀を構えたものの佐助を斬ることができなかったのも良かった……! 当然佐助が切られたがっているのはわかりながらも、どうしても斬ることができなかったのだな、と思いました。なおこの日の夜公演は白雲斎が立ち去った後後ろを向いて客席に顔を見せないようにしていて、それが白雲斎や散っていった甲賀衆、そしてその他大勢の忍びたちへの弔いのように見えてとても寂しかったです。

 

 才蔵はサンスケさん、十兵衛はダエモンさん。サンスケさんといえばなぞなぞがとても弱く、この日も二幕で絡繰から出されるなぞなぞになかなか答えられずにいて恐怖しました。もしかしてサンスケさんって十二支の「巳」を「みー」と覚えていますか……? 頼みの綱のダエモンさんも「巳って何だっけ」と仰っていてこちらもなかなか不安でした。

 

f:id:m328_0201:20260819204030j:image

 

 

 今週は二日間で五人もの新役が登場し、配役の可能性が更に広がった一週間となりました! 観たい組み合わせがたくさんあるので、この先も楽しみにしております!

LOCAL BEAT 2026.8.9

8/9 『LOCAL BEAT』vol.4@HOLIDAY NEXT NAGOYA

 

 

 『LOCAL BEAT』なるイベントが開催されていることはSNS上で流れてきて知っていたのですが、タイミングも合わないまま迎えたvol.4。今回は日頃応援している忍者隠密隊B.C.AのTANBA様が麗麗の紅愛さん、そして最近はソロで活動されている三隅一輝さんと共に「アンドワン」なるユニットを組んでご出演とのことで、おたくもこれ幸いと行ってきました。

 

 今回さまざまなアクトがあり、おたくはなんやかんやですべてのステージを観ていたのですが、他の感想を書いている間に一週間が経過してしまったため、アンドワンとTANBA様に偏った感想となります……。

 

~アンドワン セットリスト~

1.光GENJI/勇気100%

2.AAA DEN-O form/Climax Jump

3.HY/366日

4.T.M.Revolution/HOT LIMIT

 転換の間麗麗の皆さんがいろいろと紹介をしている間、ステージ上に現れたアンドワンのお三方はカンペを貼り、謎の幕をステージ上に置くという何やら怪しげなセッティングをしておられました。何をするのだろう……と思いながら始まった一曲目は「勇気100%」! TANBA様のおたくとしては、よく忍者隠密隊B.C.Aのライブでカバーを拝見しているものの、このアンドワンというユニットの一曲目に飛び出すと思わず、少し驚きました。

 「勇気100%」の間奏ではお三方が口々にユニット名の由来となったバーであるand Oneについて口々に紹介していて面白かったのですが、最も謎だったのは三隅さんが仰った「最寄りはCBC」です。確かに近いけれども、CBCからスタートすることってありますか……!?

 

 二曲目の「Climax Jump」は『仮面ライダー電王』のOP曲。『仮面ライダー電王』を観たのはここ二、三年の話なのですが、サブスクで観たにもかかわらずOPを飛ばすことなくちゃんと流していたため、出だしで「電王だ!」と分かって良かった……! 『仮面ライダー電王』、TANBA様というか弟君(長谷川聖さん)の記憶が強く、思い出深い作品だったため、こうして聴くことができて嬉しかったです。

 

 三曲目はバラードをということで「366日」。「366日」は以前弟君(名古屋虎三郎さん)が歌っておられましたね。普段聴かない系統の曲のため、こういうタイミングで聴くことができて良かったな、と思いながら聴いていたのですが、曲の終わりにTANBA様だけがステージ奥に進み、ステージ中央に置かれていた謎の幕の向こう側へ。もう不穏な予感しかしません。

 

 そしてその予感の正しさを告げるようにTANBA様が幕で隠され、流れてきたイントロは「HOT LIMIT」……! この瞬間、おたくはTANBA様があの黒ガムテープ衣装になることを察知しました。その予感の通り、TANBA様はいつもの忍者隠密隊B.C.Aで見慣れた黒衣装を脱ぎ捨て、黒ガムテープ衣装に早変わり……! 正直この曲、どこを見ていいやら、このために仕上げられたTANBA様の筋肉が面白いやらであまり記憶がありません。ここ最近、(主に弟君が)大忙しだったため、その反動でTANBA様が大いにはっちゃけているのだろうか、と思いながら観ていたことを覚えています。

 

 「HOT LIMIT」が終わると当然そのまま捌けていかれるのですが、あまりのことに幻覚でも見ていたのだろうか、と思いました。その後TANBA様のSNSにお写真が上がっているのを確認し、現実だったことを知りました。

 

 アンドワンの後ものんびりとステージを観ていましたが、最後の麗麗の時にはもう前方優先エリアも人がたくさんで席が余っていないような状況に。麗麗のセットリストでは普段ナゴヤ座で週に何度も聞いている曲が続いたところで、久しぶりに耳にしたオルゴールアレンジが……! 「あれ、この曲って……」と思っていたら、ちゃんといつもの衣装に身を包んだTANBA様がステージに現れ、「乱舞絶刀~BLACK&GOLD~」を披露してくださいました! 最近では忍者隠密隊B.C.Aが麗麗と共にライブをする機会もめっきり減っており聞けなくなっているこの曲、久々に聴くことができて本当に嬉しかったです。忍者隠密隊B.C.Aのライブでも「乱舞絶刀~BLACK~」を頻繁にセットリストにいれてくださっても良いんですよ。寧ろもう少し忘れないくらいには聴きたいです。

 

 大セッションはステージ上にぎゅうぎゅうに出演者・出店者がひしめき合って、「うまいもん食って寝ろ!」。クッピーラムネが出店しているお店とコラボしていた関係で、クッピーラムネのキャラクタのパネルやぬいぐるみがあったのですが、TANBA様がこのリス(ラムという名前だそうです)を食べようとしていて、TANBA様にとってはリスも「うまいもん」に含まれるのか……と衝撃を受けました。なおどこかでTANBA様が紅愛さんに抱き着いていた記憶はあったのですが、後からSNSに上がった写真を見たところ紅愛さんの頬にしっかり口を付けており、これも捕食だな……と思いました。

 今回アンドワンのステージは撮影不可だったため、カメラは要らないかな……とも思っていたのですが、大セッションの終わりには撮影タイムもあり、無事イヤカフがごてごてのTABNA様をデータで残すことができました。

 

f:id:m328_0201:20260817192712j:image

 

 

 今月はTANBA様及び百地丹波様のご出陣が三回もあるというレアな一か月! 次は8月18日の対バンライブで拝見できること、楽しみにしております。

GOEMON 2026.8.5-2026.8.8

8/5 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

8/7 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

8/8 『GOEMON -桜華絢爛春乃眺ハ嗚呼絶景-』昼公演・夜公演@ナゴヤ座

 

 

 

 

8/5

~配役~

石川五右衛門:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

戸沢白雲斎:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

猿飛佐助:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

恵比寿屋:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

霧隠才蔵:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

筧十兵衛:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

 劇団☆龍童子『月の子-Lunae Hostia-』から二日。まだ月に囚われている状態のおたくですが、愛知県芸術劇場からナゴヤ座に、月から京都に帰ってきました。

 

 この日の五右衛門はトラザさん。『月の子』から日も浅く、まだエクステもそのままという状態。それもあって、トラザさん演じる石川五右衛門が『月の子』のアサヒと重なってしまいました。特に五右衛門がラストの佐助との立ち回りで刀を抜くところは、元から『月の子』の元となった『朱ノ月』のナランと重なって見えていたため、この日はどうしてもアサヒを思い出してしまい、おたくは不覚にも落涙。陰に散っていくものの叫びはきっと今一番分かっているのはトラザさんだろうと思うので、そんな五右衛門が佐助の想いを受け止めてくれて嬉しかったです。なおこの日、五右衛門が佐助との立ち回りの間ずっと険しい表情をしていたのがとても印象的でした。この日の五右衛門が何を考えていたのか、もう少しじっくり考えたかったのですが、どうしても記憶が薄れていますね……。幸いこの日は配信があったため、後日ゆっくりと観てみようと思います。

 

 佐助はトラスケさん。この日五右衛門との立ち回りの最後に佐助が刀を投げ捨てて首を差し出していて、トラザさんの五右衛門とトラスケさんの佐助の日に発生するこのやり取りが大好きなおたくは久しぶりにこれが観られてとても嬉しかったです……! 五右衛門が殺してくれないとわかると諦めて自分で首を斬ろうとするのも好きでした。

 

 才蔵は久しぶりに拝見したシロウさん! おたくが外部公演に行っている間に復帰しておられたのですが、やはりシロウさんがおられることでまた違った『GOEMON』が観られて面白かったです。最後の五右衛門、秀吉、佐助がいるところに駆け込んできた才蔵が、佐助と刀を交えたためかへろへろになっていて好きでした。

 

f:id:m328_0201:20260816005012j:image

 

 

8/7

~配役~

石川五右衛門:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

猿飛佐助:名古屋山三郎さん(以下「座長」)

恵比寿屋:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

霧隠才蔵:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

筧十兵衛:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

 この日の白雲斎はダエモンさん、佐助は座長。この日白雲斎が怨の術を使うところで佐助が首を横に振っていたのが子供のようでとても印象に残っています。座長の佐助、白雲斎が絡むととても弱くなるのが面白く、きっと白雲斎が佐助の親だったのだろうな、と想像させられます。

 

 この日の十兵衛はトラザさん。何だかとても久しぶりに十兵衛を観たような気がしましたが、記録を振り返ってみると単純にトラザさんのご出演が少なかっただけでした。

 この日の十兵衛は何となくさらっとした手触りでしたが、久しぶりだったこともあり、かなり丁寧に十兵衛の心境の変化を拾っておられたように感じました。特に一幕後半の情報共有の場では初めて聴いた話から分からないなりに自分の持っている情報と結びついた瞬間が見えてとても面白かったです。

 また、二幕の千鳥の香炉を巡るスローモーションや、ラストの才蔵との別れの場面などを見ると十兵衛は本来かなり砕けた性格であることがわかり、『ROKUMONSEN』では十兵衛の本来の姿が見られるといいな、と思いました。

 

f:id:m328_0201:20260816005046j:image

 

 

8/8

~配役~

石川五右衛門:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

真柴久吉(豊臣秀吉):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

戸沢白雲斎:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

猿飛佐助:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

恵比寿屋:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

霧隠才蔵:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

筧十兵衛:名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

 この日はトラザさん演じる佐助の記憶が鮮烈で、他の記憶がすっかり吹き飛んでいます。この日はまだトラザさんの髪が長く、髪を一つに束ねておられたのですが、ボール投げの後の佐助が髪を下ろした状態で出てきて衝撃を受けました。髪を振り乱しながら五右衛門に恨みをぶつける佐助があまりにも『月の子』のオルワハと重なってしまい、『月の子』の時の感情がぶわっと蘇って涙なしには観られませんでした。白雲斎に死ぬことを禁じられた佐助を観ているととても悲しかったのですが、その一方で『月の子』の「命は廻る」という言葉を思い出して、大丈夫、命は廻ってまた白雲斎に会えるよ、という気持ちになりました。ラストで京の町が元に戻ったところで、佐助を桜が包んだのも、オルワハの周りにハワル(=春)がいるようで嬉しかった……!

 佐助は佐助で、オルワハはオルワハであるということはもちろん分かっているのですが、この日の『GOEMON』を観ていると、オルワハがアサヒと真正面から向き合うことができていれば、五右衛門と佐助のように受け止めるという形で共存できたかもしれないな、と思いました。最後の一太刀の前の「五右衛門!」「佐助!」というやり取りの直前、何かを握ろうとして掴むことができず、それもとても悲しかったです。

 二幕冒頭の朝鮮出兵で白雲斎が怨の術を使うところでは、佐助が白雲斎を掴む姿が観られて嬉しかった……! 確かこの週、他の佐助もやっていて、とても良かったのでトラザさんの佐助でも観たかったのでした。

 

f:id:m328_0201:20260816005104j:image

 

 

 この週はナゴヤ座に通いながらもずっと『月の子』の感想を書いていたため、感想も『月の子』に寄ってしまいましたが、そろそろしっかりと『GOEMON』に向き合おうと思います……! 取り急ぎの感想となってしまいましたが、この翌週も書くことがたくさんあるため、もりもりと進めようと思います。