静心なくお金飛ぶらむ

オタクの現場備忘録。内容と語彙がない。

弥次さん喜多さん 旅の幕開け

1/7 「YAJIKITA」昼公演・夜公演@ナゴヤ

1/8 「YAJIKITA」昼公演@ナゴヤ

 

 

 明けましておめでとうございます。早くも2023年が始まって10日が経ちました。4日には新座員、名古屋参雀久さんの加入も発表され、ますます目が離せないナゴヤ座! 今回は遂に幕が上がった三再版『YAJIKITA -浮世道中夢ん中之巻-』(以下「YAJIKITA1」)初週の感想まとめです。

 

 以前上演されていた頃の出演者は5人だった「YAJIKITA1」ですが、今回はなんと7人での上演。大枠は元のままに、あれから3年という時間を積み上げてきたナゴヤ座の強みが如実に表れる作品に仕上がっていました!

 

◇OP
 最初に飛び込んできたのは、講談師のだえさん。場内に響き渡る「東西、東西!」で始まる語りはかつてナゴヤ座の下で何度も聞いたもの。初日はまだ配役が分からず、だえさんが講談師の小道具を借金と共に綺麗さっぱり投げ捨てて、旅の荷物を肩に掛けたところで、そう繋げるのか、と驚きました。懐かしい「弥次さん!」のオオムコウを掛けて、次に入ってきたのはサンスケ喜多さん。チョイ見せで何度も拝見した掛け合いを再び拝見できて、とても嬉しくなりました! 今は難しくても、またナゴヤ座の下で観られると良いな、と希望が湧きました。
 また、御馴染みのOPでは、こちらもチョイ見せでやっていた荷物ゴムパッチンがあり、初めて観る方も、初演版・再演版を観たことがある方も、とてもわくわくするOPに仕上がっていました! 人数が増えた「ええじゃないか」ダンスも迫力があり楽しかったです。


◇暗闘の宿
~配役~
護摩の灰(兄い):トラザさん
護摩の灰(子分1):タロウさん
護摩の灰(子分2):ショータさん
・宿屋の主人:サンエーさん

 

 「暗闘の宿」の大きな変更点は、護摩の灰の子分が増えたこと。これにより、以前は「山・川」「キタ・ミナミ」だった合言葉も、「山・川・豊」、「キタ・南・かっちゃん」へ変更され、シュールさが増していました。「YAJIKITA」初参戦のタロウさん、ショータさんですが、子分同士のコントも合言葉脳トレのようで面白かったです。
 また、サンスケ喜多さんの妖怪「ゲラゲラポー様」の不気味さも健在で、ボイスチェンジャーを使ってるかのような幅広い声音の妖怪に暗闇の中から声を掛けられたらさぞかし怖いだろう、と思いました。
 トラザ護摩の灰さんは暗闇の中でも的確にタロウ子分さんの頭をしばく腕前をお持ちで、狙われているのに一切当たらないショータ子分さんが小気味良い「パン!」という音を銃声だと思って警戒している様子も笑ってしまいました。

 

◇腹痛の宿
~配役~
・医者:タロウさん
・産婆:サンエーさん
・坊主:ジューローさん
・宿屋の主人:トラザさん

 腹痛の宿ではなんと坊主が増え、産婆、医者、坊主の三姉弟に。新登場であるこの坊主、他の姉弟に負けず劣らず癖が強いキャラクターでした。リズミカルに木魚を鳴らし続け、別室にいるはずなのに産婆と弥次さんの攻防戦に的確な経を上げ続けるイケメンだったはずの何かに、下手側の観客は釘付けとなりました。
 また、安定のサンエー産婆さん(おシカさん)は、お嫁さんのサンバを踊ったり、闘牛をしたりとやっぱり大暴れ。しかし、その中でも冷静さを感じてサンエーさんらしさに溢れたおシカさんだなと思いました。
 そしてこの「腹痛の宿」のMVPは何といってもタロウ医者さん! 初回からフルスロットルでしたが、2日目にはすべてを搔っ攫っていく芸達者ぶりで、末恐ろしさを感じました。来月末にどうなっているのか楽しみです。
 トラザ主人さんはビジュアルがあんまりにも格好良く、腹痛主人のフォトカがほしいと叫ぶほど。ツーブロパーマという少々やんちゃな髪型にも関わらず、クールに仕上がった主人の様子が素敵でした。弥次さんのためにお布団を敷くところは力任せの片鱗が見え隠れして、トラザさんらしい主人だなと思いました。

 

◇川越人足銭渡り
~配役~
・小山田豪傑:ジューローさん
・豪傑の子分:サンエーさん
・近藤雷蔵:ショータさん
雷蔵の子分:トラザさん

 今回最も歴史の積み重ねを感じた変更点はここです。以前はベテラン人足と新人人足の2人だったこの場面、今回は4人に増えていたうえ、なんとそれが豪傑一家と雷蔵一家に! まだ横品宿を治めるようになる前の親分たちはいがみ合いながらも共存していて、『風来ボウイ』との世界の繋がりに嬉しくなりました。更に、薄い布を使った水面の表現が面白く、客席まで押し流すような大波に感じられました。
 また水が苦手で泳げないというだえ弥次さんは、水を掛けられると急にデフォルメされたかのような表情になって泣き喚き、とても面白かったです。
 ところでサンエー人足さんとトラザ人足さんはその後無事でしょうか。『風来ボウイ』の頃には奉行所に売られてしまっていたら寂しいですね……。

 

夢の宿
~配役~
・腹出し:ジューローさん、ショータさん、タロウさん
・鎌倉権五郎:トラザさん

 

 こちらも大きく変更された一幕。以前上演していた頃は、番傘を差した皆様が順に出てきて『白波五人男』の口上を述べるというシーンでしたが、今回は『暫』のワンシーンになっていました。ここの台詞はまだ聞き取りきれないところがあるため、上演中に分かるようになることが目下の目標です。
 「夢の宿」の見どころはやはり鎌倉権五郎の衣装ではないでしょうか。重そうな鬘や動きにくそうな大きな袖は歌舞伎らしさ満載。また菊之助たちに会いたかったという気持ちはあるものの、見応えたっぷりの権五郎にすっかり夢中になりました。
 「夢の宿」後半のネタは正直なところほとんど分からない(たぶんきっと『北斗の拳』)のですが、初日と二日目で権五郎の台詞が変わっていたと思うのですが、あまりにも未履修でその違いの意味は分からずでした……。

 

 初週のだえさん、サンスケさんの弥次喜多コンビを拝見するのは実は初めて。ですが、人数が増え更にどたばたとなった新約『YAJIKITA』初週の主軸に安定感のあるお二人のコンビを拝見することができて良かったなと思いました。
 1/11からは遂に『YAJIKITA2 -地獄道中閻魔之戯之巻-』も帰ってきて、ますます大騒ぎになりそうな予感がするナゴヤ座。座員の皆様のご負担は並大抵のものではなかろうと推察いたしますので、どうか最後まで無事走り抜けることができるよう、お祈り申し上げると共に、一おたくとして全力で通う所存です!

 

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