静心なくお金飛ぶらむ

オタクの現場備忘録。内容と語彙がない。

GANKUTSU-O 2024.5.26

5/26 『GANKUTSU-O -復讐の夜明け-』昼公演・夜公演@ナゴヤ

 

 

~配役~

エドモン・ダンテス:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

ファリア司祭/ファラオン号船員:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

ヴィルフォール名古屋山三郎さん(以下「座長」)

ダングラール:名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

ヴァンパ/モレル/ナポレオン:名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

ヤコポ/ファラオン号船員/ルイ十八世/部下:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

典獄/講談師:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

 

 少し久しぶりのナゴヤ座! もしかすると超極上ナゴヤカブキ『GANKUTSU-O -復讐の鎮魂歌-』前最後になるかもしれない、と思って臨んだところ、前方のかぶりつきと後方の全景とで観ることができました。

 

 

 この日一番好きだったのがモレル。元々モレルは好きな登場人物ではあるのですが、この日のトラザさんのお芝居が本当に大好きでした、

 ちょい見せからのダングラールに船長を依頼するところまでのモレルはオールバックだったのですが、その後男爵となったダングラールに援助を依頼するモレルはオールバックが乱れていて、モレル商会の危機的状況が本当に見て取れて良かったです。

 また、エドモンが投獄されダングラールに頼るしかなくなった状況で、ダングラールに対しても笑顔で優しく接するよう心掛けてはいるものの、挑発的で嫌味な言葉に、ダングラールが後ろを向く度に怒りや悔しさが滲んでいて好きでした。あのままエドモンが船長になっていたら、きっとモレル商会は傾かなかったのに……!

 

 ヴァンパの好きなところは、二幕冒頭のダングラールに対してエドモンの最期について聞かなくて良いか、と問うところ。ダングラールに断られる時に舌が出るので、ヤコポはイフ島から戻ってすぐヴァンパに始末できなかったことを報告したのかな、とか、ボロが出ないようにダングラールへの報告の場にヤコポを置かなかったのかな、とか想像が膨らみます。

 

 ナポレオンは昼公演の時に「天下を取った」と言うところでヴィルフォールの手を掴んでいて、そこに天下はないかも、と思っていたのですが、夜公演ではしっかり天下を取っていて好きでした。

 

 サンキューさんのファリア司祭は最近よく拝見できているのですが、回を重ねる毎にエドモンへの感情の重さが増しているように感じます。特に二幕でイフ島に皆が攻め込んでくる直前の「お前は私の息子だ」と語りかけるところ、今回拝見した二公演はほとんど聞き取れないようなか細さで、死期が迫るファリア司祭の切実さがよく見えるなと思いました。

 一方で楽しいシーンでのファリア司祭は相変わらず弾けていました。この日エドモンの貴族になるための修行で行ったのは、10個の紙コップの中から「エドモンLOVE」と書かれた紙を見つけるというゲーム。ファリア司祭が「赤っぽくないやつ」と言いながら石(観客)を選んでいたのが面白かったです。エドモンはさくさく紙コップを減らしていくものの、最後の二択で外してしまうのが流石でした。また、ファリア司祭にもやってもらおうとのことで、私もエドモンに選ばれて「司祭LOVE」と書いたのですが、どうやら愛が足りず二択で外れてしまいました。サンキューさんが「あれ金だから」と仰っていて、「身バレ」の三文字が脳裏で点滅していました。

 

 エドモンもサンキューさんのファリア司祭との関係性をどんどん深めているのが分かって良いなあと思いました。サンスケさんのエドモンは元々元気溌剌という印象があるのですが、だからこそイフ島での父を失った後、サンスケさんのモンテ・クリスト伯はどうなってしまうのだろうなと思いました。

 ラストのカーテンコールで見得を切るところも、ファリア司祭が来た時に少し和らいだ空気になって好きでした。

 

 座長のヴィルフォールは最近よく拝見している気がするのですが、今回何となくヴィルフォールが楽しそうに見えて新鮮に感じました。今までただひたすらに出世に邁進する冷血な存在に見えていたヴィルフォールが、突然(といいつつ私の解像度が上がっただけのような気もしますが)ダングラールに対する嘲りなどを強く出しているように感じて面白かったです。

 

 二幕のイフ島での乱戦でエドモンとダングラールが対峙するシーンに台詞が追加されていたのも衝撃でした! よくよく考えれば今までダングラールって殺害を依頼したはずのエドモンが生きていることに対して失敗したうえ報酬だけ持っていった海賊たちに何も文句を言っていなかったのでした。それがちゃんと回収されるようになって嬉しかったです。また、ヤコポがエドモンに対して強くなったと感じていたのも好きでした。実はエドモンは剣を習っていなくても船乗り時代に使っていたのでは……? と思っていたのですが、ファリア司祭に教わることにより実戦で使えるようになったのだなと思いました。

 

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 今回も細かな進化があったものの、『GANKUTSU-O』はここから更に進化するとのこと。超極上ナゴヤカブキもじわじわと近付いてきていて、楽しみが加速しています。

 6月はあまりナゴヤ座を観られないのですが、引き続き書き留めていきたいです。