静心なくお金飛ぶらむ

オタクの現場備忘録。内容と語彙がない。

スケロクブギ! 2024.10.26-2024.10.27

10/26 『スケロクブギ!』昼公演・夜公演@ナゴヤ

10/27 『スケロクブギ!』昼公演・夜公演@ナゴヤ

 

 

10/26

~配役~

助六(曽我五郎時致):名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

揚巻(鈴香):名古屋虎之助さん(以下「トラスケさん」)

外郎売(曽我十郎祐成):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋参駄右衛門さん(以下「ダエモンさん」)

工藤祐経/通行人:名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

仁田忠常:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

 土曜のナゴヤ座は先週登場したばかりのジューローさん助六! この日の助六、本当に良かった……!

 ジューローさんの助六は幸運なことに初日を拝見していて、ラストシーンの「やはり聞きたくない言葉ぞ」という台詞の時に十郎の方を向くのがとても印象的だったのですが、この日の夜公演は特に印象的でした。顔中をぐしゃぐしゃにしながら兄の方に向く助六が、とても幼く見え、また、答えを求めているように見えて好きでした。

 そんな助六ですが、喧嘩のやり方を教える中で二人揃って見得を切るところではオオムコウを全て十郎に奪われていて面白かったです。まだ二日なのに……!

 

 またこの日の十郎は、助六や揚巻に「弱い」と言われていても、助六より一歩先に謝罪をもって工藤を許すことを選んでいて、やはり強い人だと思いました。

 十郎って確かに喧嘩には弱いのですが、弟や揚巻を守るため一人で敵の本陣に乗り込んだり、敵討ちを一人で成し遂げようとしたりと、とても意思は強い方なので、精神的な面ではやはり兄なのだなあ……。

 あと見えにくいところで手のツボを攻める十郎がとても強かで好きでした。

 

 揚巻は先週に続きトラスケさん。この日もなかなか助六から手を放さず、ついに髭の意休が助六目掛けてオヒネリを投げつけたのに対抗して揚巻もオヒネリを投げつけていて大好きでした。トラスケさんの揚巻はちょい見せでも通行人に対して「助六の股を)潜りなさいよ」と仰ることもあり、気の強さが見える女性だと思います。だからなのか、舞を披露するために工藤を訪れるシーンも、初めから隙あらば工藤を倒すという意思が見えるような気がしています。

 

 髭の意休は上記の通り揚巻にオヒネリを投げつけられたのを助六に八つ当たりしていて面白かったです。子供の喧嘩のようなやり取りをしている……!

 髭の意休は袖にされ続けているにも関わらずめげずに好意を伝え続けていて、悪い人ではないのですよね。かなり理性で物事を判断できる大人として描かれているような気がします。

 

 この日の昼公演は最後列で拝見していたのですが、馬で走るところで真正面からサンエーさんの全力早馬を見てしまい、面白すぎて笑いが止まりませんでした。

 サンエーさんの工藤は十郎に友切丸の在処を問いかける時に「友切丸はどこかしら」と仰るのですが、そのやや高貴な言い回しがとても好きです。これ、サンスケさんも元々はそう仰っていたような記憶があるのですが、勘違いかな……?

 

 サンキューさんの門兵衛はもう何度も拝見しているのですが、この日も十郎が持ってきた早口言葉に苦しめられていて面白かったです。この日の早口言葉は「僕ボブ」というたった四文字なのですが、これを三回繰り返そうとすると途端に難易度が跳ね上がるという魔の呪文でした。これ、実際に挑戦したのですが「ぼばばば」と言ってしまいました。

 そして通行人は久しぶりにブロッコリー侍を観られました! 昼公演の時点でもかなり完成していたのですが、なんとこの日は途中で十郎の色味に気が付いたブロッコリー侍によって十郎もブロッコリーJr.に変身……! ブロッコリーJr.が「ブロッコリーのその先へ」(?)と言いながら花道を通って行ってしまい、後に残ったブロッコリー侍がそのまま十郎のポジションに収まろうとしたのが本当に面白かったです。

 なのにこの後出てくる近江はぞっとする怖さなんですよねえ……。そこがサンキューさんの凄いところだと思います。

 

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10/27

~配役~

助六(曽我五郎時致):名古屋虎三郎さん(以下「トラザさん」)

揚巻(鈴香):名古屋参永已さん(以下「サンエーさん」)

外郎売(曽我十郎祐成):名古屋参九郎さん(以下「サンキューさん」)

髭の意休(伊賀平内左衛門家長):名古屋山三郎さん(以下「座長」)

工藤祐経/通行人:名古屋山之助さん(以下「サンスケさん」)

仁田忠常:名古屋参十郎さん(以下「ジューローさん」)

かんぴら門兵衛/近江小藤太/通行人:名古屋参史郎さん(以下「シロウさん」)

 金曜日から続くトラザさん現場の締め括りはトラザさんの助六! 前日の公演がとても良かったからか、この日もラストシーンがぐわっと感情を揺さぶるような公演だったと思います。

 前日、ジューローさんの助六は頭では理解していて、それでも抑えきれない燃え上がった感情を最後の一押しとして友切丸を鞘に納めたように感じたのですが、この日のトラザさんの助六は納刀する時はもう整理がついていて、それを自分に言い聞かせるような納刀で大好きでした。どう表現すべきかは分からないのですが、静けさを持っていて、新しい助六の形だなと思いました。この先のトラザさんの助六がどう成長していくのか、一介のおたくに過ぎない私には知る由もないのですが、この先もずっと観ていたいなと思った新しい一歩でした!

 片肌脱ぎも更に格好よく決まるようになっていて、今回も観られて良かったです!

 

 揚巻はサンエーさん。サンエーさんの揚巻も助六からなかなか手を離さないのですが、更に一度離れたかと思いきやもう一度手を取っていて良かったです。髭の意休に対してとことこん冷たい目を向けていて大好きでした。

 また、祝いの舞のシーンの謡で語尾が途切れがちになっていて、それがとても緊張感として現れているような気がして良かったです!

 

 サンキューさんの十郎はいつ拝見しても優しさに溢れていると思うのですが、特にラストで友切丸を工藤に渡した助六をそっと支えているところが好きです。きっといつだって弟のことをそっと支えてきたのだろうな……。

 喧嘩の実践で急に鼻の穴に本当に屋形船を突っ込むので、実は一番危険な十郎なのでは……? と思っていることは内緒です。

 

 外部公演から戻ってこられたばかりの座長は髭の意休! 冒頭で助六と睨み合うところでは「行けなくてごめんね!」「いいよ!」と言い合いをしていて比較的友好的な印象だったため、後に助六に協力する流れがすんなり見えてそれはそれで好きでした。「俺はミュージカルはやらねえと言っていたくせに」と突っ込まれていたのは笑いました。

 また、ユニコーンに乗って登場した時は無駄に床を踏んで溜めて台詞を仰っていたので、揚巻に外部公演で踏めなかった分今踏んでいるのでは? と言われていて面白かったです。

 

 髭の意休が台詞を溜めるため巻き返すために台詞が高速になることでお馴染みのサンスケさんの工藤ですが、この日は座長があまりにも溜めたために過去最高速になっていて面白かったです。

 

 シロウさんの通行人は久しぶりに拝見したのですが、「武士!」と効果音をつけながらオラオラと登場したわりに、十郎のパーマを見て「アフロだ」と怯えていたのが本当に面白かったです。

 また、台詞を外郎売に奪われてしまう門兵衛も久々に拝見できて嬉しかったです!

 近江はいつも怖さと美しさの合間だなと思っていたのですが、この日は「殿はなんでもお見通しだ」と言う近江に『MACBETH -魔苦減須-』の魔女っぽさを感じてぞっとしました。シロウさんの表現の自在さ、やはり凄いなと思います。

 

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 そして週が開けた今日はついにハロウィン! 『スケロクブギ!』初めての8人編成の公演となるので、とても楽しみです!